Ⅲmはトニック?(前篇:提起~定義1)

Ⅲmはトニック?前篇
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結論

トニックかどうかはトニックの定義次第だね、いじょー!解散!

ってそれだけじゃ面白くないから、考え事してる中で「あ、こーゆーことか!」とふとすっきりする解釈が見つかったので掘り下げて書いてみるね。

推察:似て非なる2種類の定義

これは実体験からの背景推察なんだけど、色々な人と話したり記述を見ていると以下2つの定義があるように見えて、ちゃんと整理しないまま両方をごっちゃにして語ってるようなことがあるように思えたんだ。

  1. Ⅰと同じ機能を持つものをトニックとする」という定義
  2. 終止感を持つものをトニックとする」という定義

上記は似てるようで別物なんだけど、これらをごっちゃにしたような例を書くね。

  1. Ⅰ、Ⅲm、Ⅵmはトニックである
  2. Ⅰは終止感を持つ
  3. したがって、ここの終止感のあるⅠは、同じトニックであるⅢmで置き換えても問題なく終止感を得られる

いやいや、まじかー、Ⅲmに「あー終わった!」って感じる人いるのか…僕に全く感じないけどまだそういう使い方に出会ってないのかな…

1点目は「定義1」の主張、2点目は「定義2」の主張、再定義(2)した方を拠り所にするのか元定義(1)を拠り所にするのか、根拠ごちゃごちゃなまま主張すると3点目になる。

この論理を「レモンと同じ植物」と「レモンと同じ味覚(酸っぱい)」という2つの別定義で例えると

  1. ここにレモン、白菜、バナナ、キャベツ、お米、ミカン、鶏肉がある。
  2. 定義①:レモン(Ⅰ)と同種植物(同類)を果物X(トニック)と呼ぶ
  3. 定義②酸味(終止感)のあるものを果物X(トニック)と呼ぶ(①と別定義)
  4. ①⇒レモン(Ⅰ)、バナナ(Ⅲm)、ミカン(Ⅵm)は果物X(トニック)
  5. ①+②⇒酸味(終止感)が欲しけりゃ果物X(トニック)としてレモン(Ⅰ)の代わりにバナナ(Ⅲm)でOK

って

バナナが酸っぱい???チョイスあってる??

くらいずれた主張に感じる。

定義1は「果物」の集合で、定義2が「酸っぱいもの」の集合、当然そこにバナナは入ってないのに、定義をごちゃ混ぜにすると「バナナ酸っぱい」っていう危険な飛躍招きかねない…。

どっちの定義が正しいの?って問題は、たかが定義(名前)だけの話なので、結論としてはどっちで定義してもいいと思うよ。重要なのはトニックという言葉を使う時には「何をさすのか(どう定義したものをさしてるのか)」の注意が必要だということ、話がかみ合わなくなるし、先に挙げたような変な主張を導いちゃうから。

ってことで、明確にするために前述の定義1,2それぞれを整理していくね。

定義1「Ⅰと同じ機能」という性質による定義

コードに対して定義:よく見る定義の大元

トニックはⅠ、Ⅲm、Ⅵmだと覚えましょー」系はよく目にするね。なんで?ってのを説明してるのは見たことがないんだなー(※)

※ 「構成音が似ているから同じものと考える」のような説明は見るけど、「こう心に響くから」「こういう性質だから」という「どう聞こえますか」主体の分類説明ってのを見たことないなって。

音の構成とかの表面上のことよりも、「どういう聴こえ方するか」の方が有益な分類じゃないかなっていうスタンスだからこのMSTDIOではドミナントとして分類してるよ。性質や響き的なことから「ね、Ⅲmはトニックでしょ」って導いているところあったら教えてほしい…。

定義Ⅰはこれの大元、「なぜ」にあたる理由かなって思う。同じ機能だからまとめて「トニック」と呼びましょう(覚えましょう)って理由。先に言っちゃうと終止感以外の性質もここに含めちゃってることで「終止感感じないのにⅢmもトニックと読んじゃった」って状態かなって。

まずは「Ⅲm、Ⅵmは本当に同じような機能なの?」ってのを確認しておこう。

Ⅵmをトニックとするときの「同じ機能」

ⅠとⅥmについては、僕は「終止感」の点で同機能かなって思う。具体的には

  • Ⅰは明るく終わる
  • Ⅵmは暗く終わる (同主短調への転調の解釈としても納得))

という感情を抱くので、同じ機能として違和感はない。終止感がトニックとしての「Ⅰと同じ機能」かな

Ⅲmをトニックとするときの「同じ機能」

じゃーⅢmは?僕はこれについては終止感は全く感じない。Ⅲmはドミナント感/ここではないどこかに飛び立ちたい感を感じて「あー終わった!ここにいたい」って気持ちにはならない。僕が曲を聴くときに長調なのか同主短調なのか明確に聞き分けてないからなのかな?

だからず~っと「なぜトニックにⅢmを含めるの?Ⅰのような終止感ないじゃん」って解せなかった。でも最近気づいた。

これは本ブログ記事用の音源(カノン題材にあれこれ弄ったバリエーション音源)を打ち込んでるときに気付いたのだけど、

  • 小節頭がⅣの時の次に遷移するⅠ/Ⅲ

このときってこいつⅠの癖に終止感感じない。だいぶ条件きつくかいたけど、もしかしたら単純に

  • Ⅰ/Ⅲという転回系

はすべて該当するかもしれない。転回によって終止感が8割減とか。逆にここのⅠはⅢmで置き換えてもなんら役割が変わらない。具体的なコードを書くと、カノンDメジャーキーで

Ⅰ(D) →Ⅴ(A)→Ⅵm(Bm)→Ⅴ(A)→
Ⅳ(G)→Ⅰ/Ⅲ(D/F♯)→Ⅳ(G)→Ⅴ(A)

こいつ!こいつⅢm(F♯m)とすり替えてもぜ~んぜんいいなって。つまり、

Ⅰは終止感をもたないときがあって、Ⅲmと似ていることがある

ってわけ。それを踏まえて定義1をもっかい見ると

定義1「Ⅰと同じ機能をもつものをトニックとする」

なので、終止感という共通項でⅥmはトニック、終止感を持たないときの共通機能でⅢmもトニックってことになる。

定義1のトニックとして言えること/言えないこと

この定義はあくまで「Ⅰと同じような機能も持つコード」としてトニックと呼んでるだけで、「全面的に同じ機能」ではないので、

ここのⅠ/Ⅲは 終止感を感じないけどⅢmで置き換えられる

は言えるけど

ここのⅠは 終止感を感じる。Ⅲmで置き換えられる

は飛躍になっちゃう(=根拠になってない)なって。

あー考えてるうちに「Ⅰ/Ⅲは8割くらい『5thを引っ張り上げたⅢmsus6』的なスタンスなのでは」「Ⅵm/Ⅲも8割くらい『3rd,5thを引っ張りあげたⅢmsus4,sus6』的なスタンスなのでは」って思い始めた。Ⅱm7/Ⅴをドミナント代理系に言う話も「Ⅴ7sus2,sus4」だからだよねっていう。どっかで整理しよー

一旦整理(提起~定義①)

長くなるので今回は提起~定義①のここまで。僕の推察としてだけど整理すると、まず提起での主張は

  • トニックの定義の仕方が2つありそう
  • 定義1はⅠと同じ機能のものをトニック
  • 定義2は終止感を持つものをトニック
  • これらを混同すると変な結論を導いちゃう

そして前者定義1についての推察整理は

  • トニックの定義:Ⅰと同じ機能を持つもの
  • Ⅵmは終止感でⅠと同類⇒トニック
  • Ⅲmは終止感ないときにⅠと似た顔を持つ⇒トニック

別途、別記事で定義②~僕の結論まで記載するよ。ベン図で描くと分かりやすいと思う。

それじゃーね!

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コメント

  1. […] に置き換えて明るくしている点。どちらもドミナント(※)だから交換できて、マイナーコードの暗さをメジャーコードにして明るくできるね!(※MSTDIOではⅢmをドミナントとしているよ。トニックじゃないの?ってキミは別記事を見てみてね) […]

  2. […] 前回の記事「Ⅲmはトニック?(前篇:提起~定義1)」の主張と整理はこうだったね。 […]