近い世界(近親調)~属調・下属調~

近い世界(近親調)~属調・下属調~
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前々回のトーナルセンターと同じ世界②同主調/同主平行調ではダブルトニックとトーナルセンターを共有する世界を見たね。調性で一番大切なトーナルセンター、それが等しい世界は「同じ世界の別の形」と言ってもいいかもね。

同じ世界を具体的に書くと(以下カッコ内はC メジャーキー の具体例)

そして前回は一部ラウンジに寄り道したけど、シリーズ:音楽空間の距離と五度圏で音や調の近さに関する内容を見ていったね。

今回の話題は、近い世界(調)だよ。トーナルセンターは共有しないけど、音楽の世界を構成する音階たちが似てる世界を見ていこー!

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属調

定義

元のキーのとするキー。

Cメジャーキー/Aマイナーキーから見るとGメジャーキー/Eマイナーキーだよ。

五度圏で見ると五度上、時計回り方向に隣の調だね。調号は元のキーに♯が1つつくキー(元のキーに♭があれば♭が1つ消える)。

五度圏上の属調の関係
図:五度圏上の属調の関係

スケールの比較

スケール7音の内、元のキーとの差は1音のみ!ⅳが♯する(半音上がる)よ。

数理的記事でも見たように、半音隣合う音の1つが♯方向にずれて、形が変わったかのように見えるのに、実は回転させてみると元の形と同じだったという調和のとれたダイアトニックスケール。下のGIFアニメーションの右下ではCメジャースケールを回転させてGメジャースケールにしてるよ!

属調のスケールの差
図:属調のスケール的特徴

7つの音の内、6つが同じ音!めちゃくちゃ親近感のある調だ。

コードの比較

コードルートで並べると、属調のダイアトニックコードは次の通り。左から2列目が元のキー、その右側が属調だよ。

基準例 元調 属調 変化
同じ(長)
Ⅱm 短⇒長
Ⅲm Ⅵm 同じ(短)
ファ (♭Ⅶ) ない
(ファ♯) (♯Ⅳdim) Ⅶdim 新規
同じ(長)
Ⅵm Ⅱm 同じ(短)
Ⅶdim Ⅲm 減⇒短
属調のダイアトニックコード比較
図:属調のダイアトニックコード比較

トライアドベースで4つ同じ2つ変形1つ交わらず

下属調

定義

元のキーのとするキー。

Cメジャーキー/Aマイナーキーから見るとFメジャーキー/Dマイナーキーだよ。

五度圏で見ると五度上、反時計回り方向に隣の調だね。調号は元のキーに♭が1つつくキー(元のキーに♯があれば♯が1つ消える)。

スケールの比較

スケール7音の内、元のキーとの差は1音のみ! ⅶが♭する(半音下がる)よ。

やっぱりこれも回転させて元の調と同じ形になるよ。

下属調のスケール的特徴
図:下属調のスケール的特徴

これもまた7つの音の内、6つが同じ音!めちゃくちゃ親近感のある調だ。(元の調は下属調から見ると属調になるから当たり前っちゃ当たり前だね)

コードの比較

これもコードルートで並べると、属調のダイアトニックコードは次の通り。左から2列目が元のキー、その右側が下属調だよ。

基準例 元調 下属調 変化
同じ(長)
Ⅱm Ⅵm 同じ(短)
Ⅲm Ⅶdim 短⇒減
ファ 同じ(長)
Ⅱm 長⇒短
Ⅵm Ⅲm 同じ(短)
(シ♭) (♭Ⅶ) 新規
Ⅶdim (♯Ⅳdim) ない
下属調のダイアトニックコード比較
図:下属調のダイアトニックコード比較

トライアドベースで4つ同じ2つ変形1つ交わらず

まとめ

近親調

属調、下属調ともに元の調と凄く共通点の多い調だったね。

音階としての差異は1つの音だけ、そしてダイアトニックコードとしては4つが同じ2つが変形1つだけ交わらないコードだった。これを1枚の図で表すとこうだよ。

属調・下属調のダイアトニックコード比較
属調・下属調のダイアトニックコード比較

前回まで見てきたのは同じ世界(調)だったね。主役であり世界の最終到達点であり重力でもあるトーナルセンター、これが同じ世界だった。

今回見たのは、トーナルセンターは違うんだけど、世界を構成する音たちが似通っている世界。つまり近い世界(調)だよ。これらはひっくるめて近親調って言うんだ。

同じ世界・近い世界はなぜよいか

調が近いと何が嬉しいのかっていうと、調が切替わった時にエネルギーが少なくて済むんだ。通常調が変わると

今いた世界

別の世界

に切り替わったように感じたりする。これは良く言えばインパクトのある表現でもあるし、悪く言えばそこに至るまでに積み上げた世界観や流れを一度ぶった切ってしまう。

もしそこで聞き手に転調を感じさせない転調ができたらどうだろう?

インパクトは与えないけど、流れは断ち切らない、流れ重視な表現になるね。でも嬉しいのはそれだけじゃない。今いる調では感じさせることができなかった感情を与えることができる。だって調が2つ分になるってことは、音階の選択肢もその分増えるってことだからね!

この辺の話を今後展開していくうえで、この近親調という近しい調たちは凄く重要な関係調になっていくんだ。それはこれからのお楽しみ!

ここまでで一旦カテゴリ「周辺の世界」は終わりだよ!お疲れ様!

それじゃーね!

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