実際のヒット曲で学ぶ音楽理論だよ!キミの音楽理論で整理した武器で楽曲を分析し、得られた知見をキミの音楽理論にフィードバックしてレベルアップいくんだ!
コード進行は「楽曲情報」ウィジェットで好きな調に移調できるから、分析やコピー演奏の際の参考に活用してみてね!
過去に耳コピ+分析した作品たちは カテゴリ検索 または 目次(手動更新のため不定期) から参照できるよ。それではいってみよー!
楽曲情報
さて、今回の楽曲分析の題材は アーティスト SiMの 作品名 Amy だよ!前回はTHE ORAL CIGARETTESのエイミーをやったね、エイミーつながりってことでw
調は Dmだよ。♭が1つ、シにつく調だ。
このバンドの楽曲は本当に面白い!この手のジャンルが好きということもあるけど、レゲエ裏打ちに乗っかる面白めな声質のボーカル(かっこいい)×ヘビーな重音サウンドとたまにグロウル(かっこいい)×フリジアン多用して重くハンマー振り下ろしたかと思いきや心つかみに来る4-5-6(かっこいい)×ロクリアンで狂気的にくる(かっこいい)とすべてかっこいい尽くし!ここまでやりたい放題なバンドは類を見ないってくらい。
コード進行
イントロ
①| Ⅰ | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃
①| Ⅵm Ⅴ | Ⅵm Ⅴ
②| Ⅵm Ⅴ | Ⅵm ♯Ⅴdim
③| Ⅵm Ⅴ | Ⅵm Ⅴ
④| Ⅵm Ⅴ | Ⅵm Ⅴ
ヴァース(Aメロ)
① | Ⅵm | Ⅵm Ⅴ
② | Ⅵm | Ⅵm Ⅴ
③ | Ⅵm | Ⅵm Ⅴ
④ | Ⅲ7♭13 Ⅲ7 | Ⅲ7♭13 Ⅲ7
⑤ | Ⅵm | Ⅵm Ⅴ
⑥ | Ⅵm | Ⅵm Ⅴ
⑦ | Ⅵm | Ⅵm Ⅴ
⑧ | Ⅲ7♭13 Ⅲ7 | Ⅲ7♭13 Ⅲ7
⑨ | Ⅵm | Ⅵm | Ⅵm | Ⅵm
コーラス(サビ)
① | Ⅵm | 〃 | Ⅰ | 〃
② | Ⅳ | 〃 | Ⅲ7 | 〃
③ | Ⅵm | 〃 | Ⅰ | 〃
④ | Ⅴ | 〃 | Ⅳ | Ⅲ7
間奏
①| Ⅵm Ⅴ | Ⅵm Ⅴ
②| Ⅵm Ⅴ | Ⅵm ♯Ⅴdim
③| Ⅵm Ⅴ | Ⅵm Ⅴ
④| Ⅵm Ⅴ | Ⅵm Ⅴ
ヴァース(Aメロ)
① | Ⅵm | Ⅵm Ⅴ
② | Ⅵm | Ⅵm Ⅴ
③ | Ⅵm | Ⅵm Ⅴ
④ | Ⅲ7♭13 Ⅲ7 | Ⅲ7♭13 Ⅲ7
⑤ | Ⅵm | Ⅵm Ⅴ
⑥ | Ⅵm | Ⅵm Ⅴ
⑦ | Ⅵm | Ⅵm Ⅴ
⑧ | Ⅲ7♭13 Ⅲ7 | Ⅲ7♭13 Ⅲ7
⑨ | Ⅵm | Ⅵm | Ⅵm | Ⅵm
コーラス(サビ)
① | Ⅵm | 〃 | Ⅰ | 〃
② | Ⅳ | 〃 | Ⅲ7 | 〃
③ | Ⅵm | 〃 | Ⅰ | 〃
④ | Ⅴ | 〃 | Ⅳ | Ⅲ7
間奏
① | Ⅵm ~
ブリッジ
① | Ⅵm 休 | 休 ♭Ⅶ
② | Ⅵm 休 | 休 ♭Ⅶ
③ | Ⅵm 休 | 休 ♭Ⅶ
④ | Ⅵm | 〃
⑤ | ♭Ⅶ Ⅵm Ⅵdim | Ⅵdim
⑥ | ♭Ⅶ Ⅵm Ⅵdim | Ⅵdim
⑦ | ♭Ⅶ Ⅵm Ⅵdim | Ⅵdim
⑧ | ♭Ⅶ Ⅵm ♭Ⅵ | Ⅵm ♭Ⅶ Ⅵm
⑨ | Ⅵm(リフ:ⅲ–ⅱ–ⅰ)
コーラス(ラスサビ)
① | Ⅵm | 〃 | Ⅰ | 〃
② | Ⅳ | 〃 | Ⅲ7 | 〃
③ | Ⅵm | 〃 | Ⅰ | 〃
④ | Ⅴ | 〃 | Ⅳ | Ⅲ7
⑤ | Ⅳ Ⅴ | Ⅵm
⑥ | Ⅳ Ⅴ | Ⅵm
⑦ | Ⅳ Ⅴ | Ⅵm
⑧ | Ⅳ | Ⅳ
⑨ | Ⅲ7 | Ⅲ7
エンディング(アウトロ)
①| Ⅵm Ⅴ | Ⅵm Ⅴ
②| Ⅵm Ⅴ | Ⅵm ♯Ⅴdim
③| Ⅵm Ⅴ | Ⅵm Ⅴ
④| Ⅵm Ⅴ | Ⅵm Ⅴ
⑤| Ⅵm
分析
イントロ
キースケール:広がって明るめに始まるミクソリディアン
①| Ⅰ | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃
明るくない?どう聞こえる?僕にはこう聞こえる。
ⅰ ⅰ ⅰ ⅲ ⅱ ⅰ ♭ⅶ ~
出だしの音にひかれて、これがトーナルセンターに感じる。つまりこれはGキーでキースケールは ミクソリディアン 。もしかしたらチョーキングはやや低めで短3度に近いかもしれない、そうなると マイナーキー なんだけど、聴音を信じるとここはGメジャー想起する世界観。 ミクソリディアン 固有の トニック 長2度下の音が出てきて、あの広大で陽気に明るい感じ。
スケール:飽きさせず遊ぶヘビーリフ
①| Ⅵm Ⅴ | Ⅵm Ⅴ
②| Ⅵm Ⅴ | Ⅵm ♯Ⅴdim
③| Ⅵm Ⅴ | Ⅵm Ⅴ
④| Ⅵm Ⅴ | Ⅵm Ⅴ
気が付いたらD マイナーキー に突入。え、じゃーさっきのなんだったの?ってのは「かっこよくハマったから」じゃないかな?深追いはしない!w
さて、重いサウンドの中でリフが遊んでる。音程差がある飛び方なので注意しないと聴き逃しそうだけど、同じようで違うリフを繰り返してる。ギターのタブ譜っぽく書くとこんな感じ。※以下はドロップC(C-G-C-F-A-D)
◆①のリフ
==================
ⅵ ⅵ ⅵ ♭ⅲ ⅵ ⅴ~
―――――1――――― :5弦
2―2― 2――2―0 ― :6弦
==================
ⅵ~ ⅴ ⅵ ♭ⅲ ♭ⅵ ⅴ~
――――――1―――― :5弦
2――0―2―――1―0―:6弦
前者の リフ の5弦、トニック 5度かと思いきや半音下げて
Ⅵdim={ⅵ、ⅰ、♭ⅲ}
にしてる。トーナルセンター が
ⅵで全体的にⅥmを
意識している中でやるから
Ⅵm と Ⅵdim
を行ったり来たりして暗めのヘビーサウンドに最高にハマるね。かっこいい!
後者のリフ、一見同じ スケール のようでちょっと違い、
♭ⅵ
が出現する形。素通りするレベルで簡単に見ちゃうと、これは次のドミナントのトーン
ⅴ
へのクロマティックアプローチ。半音上の音から接近する形。これを深堀すると、敏感な人には ドミナント
Ⅴ
から見たコードスケール:フリジアンメジャー=フリジアンドミナント(ハーモニックマイナーp5bと同音階)を感じるかもしれないね。
ⅴ、♭ⅵ、ⅶ、ⅰ、ⅱ、♭ⅲ、ⅳ
あくまで僕はここに ハーモニックマイナー 感(半音3つ分の距離の持つ臭さ)は感じてなくて、前述の クロマティックアプローチ のような半音下に落とすアプローチを感じる。それは フリジアン の 短2度落とし と同じ感情。
なので、ハーモニックマイナーp5bではなく フリジアン × メジャー変化(スケール短3度を半音上げて長3度にした)という意味で フリジアンメジャー スケールって呼ぶよ。
ちなみに フリジアン との対比をしてみると、3番目だけ違うよ(以下はドミナント上のコードスケール、キースケールじゃないよ)
ⅴ、♭ⅵ、♭ⅶ、ⅰ、ⅱ、♭ⅲ、ⅳ : フリジアン
ⅴ、♭ⅵ、 ⅶ、ⅰ、ⅱ、♭ⅲ、ⅳ : フリジアンメジャー
しっかしトーナルセンターのⅵが追い出される(ⅵが♭ⅵに変化して消え去った…)世界だなんて、僕は初めてだ…。コーダル発想ってこと?なのかな。一瞬だから違和感とかギャップ感は小さいけどね。
続いて
◆②のリフ
==================
ⅵ ⅵ ⅵ ♭ⅲ ⅵ ⅴ~
―――――1――――― :5弦
2―2― 2――2―0 ― :6弦
==================
ⅵ~ ⅴ ⅵ ♭ⅲ ⅵ ♯ⅴ~
――――――1―――― :5弦
2――0―2―――2―1― :6弦
で、問題はここから。前者は同じだからいいね。後者はさっきと同じようで…
違う!
ⅵ
の音は追い出されてない、健在。最後の音の
♯ⅴ
が変化して出現してる。これは今まで他の作品でも触れてきた ハーモニックマイナー スケールそのものだね。5番目が半音上に♯する形
ⅵ、ⅶ、ⅰ、ⅱ、ⅲ、ⅳ、♯ⅴ
いわずもがな、次の
ⅵ
に行きたい状態で我慢してる感じ。
◆③のリフ
==================
ⅵ ⅵ ⅵ ♭ⅲ ⅵ ⅴ~
―――――1――――― :5弦
2―2― 2――2―0 ― :6弦
==================
ⅵ~ ⅴ ⅵ ♭ⅲ ♭ⅵ ⅴ~
――――――1―――― :5弦
2――0―2―――1―0―:6弦
ここは①と同じ。
◆④のリフ
==================
ⅵ ⅵ ⅵ ♭ⅲ ⅵ ⅴ~
―――――1――――― :5弦
2―2― 2――2―0 ― :6弦
==================
ⅵ~ ⅴ ⅵ ♭ⅲ ⅵ ⅴ~
――――――1―――― :5弦
2――0―2―――2―0―:6弦
ここは一番まとも(?)w 離脱せずすみました。
ここの変化、まるで足をパタパタステップするツーステップみたいじゃない?ツーステってのは
スキップや反復横跳びの進化系と思っていただければいいです。
【フェス初心者のための】ツーステってなに?
音楽に合わせて手と足を使ってステップを踏みます。
https://fes.studiorag.com/two-step
…ってまさにSiMのこの楽曲がお手本で挙げられてるじゃんw
我ながらGIFアニメ気に入ったので再掲するとこんな感じ!
ヴァース(Aメロ)
スタイル:レゲエ(スカ)寄り×メタル(ラウドロック)
8分で裏を刻むギターのスカっぽさ(というより倍テンポのレゲエ感?)が楽しいね。と思ってると毎回我にかえらせるようなHeavyなサウンド。とても気持ちがいい♪
コード:短調を主張し小解決を期待するⅢ7(♭13)
① | Ⅵm | Ⅵm Ⅴ
② | Ⅵm | Ⅵm Ⅴ
③ | Ⅵm | Ⅵm Ⅴ
④ | Ⅲ7♭13 Ⅲ7 | Ⅲ7♭13 Ⅲ7
コードの書き方は聞き手のセンスに依存すると思ってるんだけど、この④はまさにそうで僕の趣味で書いてるよ。簡単にやるならⅢ7のみでもいいし、A音-F音-G音のリフと共にコードを変えてもいいかもね。
ここで僕が書くのは、短調ドミナントの中に鳴るF音を尊重して
Ⅲ7(♭13)
だよ。以前他の記事でも書いたけど、ドミナントコードのテンションは簡単に次のように背景スケールを類別ができる
- ♭9 :ハーモニック
- ♭13:マイナー
- 13:メジャー
これを組み合わせて
- ♭9+♭13= ハーモニックマイナー
- ♭9+ 13= ハーモニックメジャー
今回は♭13のみなので短調を主張する形の ドミナント 。ハーモニックかメロディックかは提示されてないけど、直前までに
ⅳ=♭9
がいる空間にいたからハーモニックに近い心理状態。
そして♭9、♭13はsus4のように半音下に解決したい状態。一般の音楽理論ではこんな表記しないだろうけど、無理やりこの感覚を文字にすると
Ⅲ7(♭9,♭13)=Ⅲ7susⅡm7
みたいにコードの上層部でsuspend(吊り上げ)されてる感じ。これの半音下への小さな解決
Ⅲ7(♭9,♭13) ⇒ Ⅲ7
を2度繰り返してからのトニックダメ押し
Ⅵm 連続
聞かせてからのサビ突入。さぁ来ました!って感じ!
コーラス(サビ)
コード進行:突き進むターン(T-T)と準備ターン(X-D)
① | Ⅵm | 〃 | Ⅰ | 〃
② | Ⅳ | 〃 | Ⅲ7 | 〃
③ | Ⅵm | 〃 | Ⅰ | 〃
④ | Ⅴ | 〃 | Ⅳ | Ⅲ7
サビど頭はトニックの
Ⅵm
に飛び込んで始まる。ここから3度上のダブルトニック
Ⅰ
にコード遷移。トーナルセンターは短調のまま。この
Ⅵm → Ⅰ
のコード接続は洋楽でよく聞くイメージ。トニック→トニック(T-T)とグングン突き進みマイナーからメジャーコードで広がる感じ、エネルギッシュな感じがするね。
そして後半は補助ターン。英語などの文法でいうところの「私は食べたパンを今朝」の後半たーんだね。
1回目は
Ⅳで受けて、Ⅲ7で次への準備
2回目は
Ⅴで受けてⅣからのⅢ7
でいずれも最後のコードは次小節への準備の短調 ドミナント 。短調中心だね。TTXD:ガンガン(Tonic-Tonic)&準備(X-Dominant)だ。
リフ:オブリガート
サビの裏でタッピングのオブリ入ってくる。こういうサビのわちゃわちゃ盛り上げ感すごくかっこいいよね。
メロデスというメタルのジャンルだと、音程のないボーカルの裏で綺麗なツインハモリギターでぐっとくるような形式多いんだけど、歌ものでもぐっとくるね。僕もドロップCのメタル系でやったりしたよw
間奏
サウンド:ダブステなサウンド
Ⅵm ほぼ一発
の間奏、サウンドが楽しいね。ダブステップ系の遊び音強い。ダブステップとメタルと フリジアン ってかなり相性いいと思う。
ブリッジ
キースケール:ヘビー系御用達のフリジアン短2度落とし
① | Ⅵm 休 | 休 ♭Ⅶ
② | Ⅵm 休 | 休 ♭Ⅶ
③ | Ⅵm 休 | 休 ♭Ⅶ
④ | Ⅵm | 〃
ここで、というよりこの作品で一番取り上げたい話、 フリジアン の 短2度落とし 。
♭ⅦからのⅥm
をキミの音楽理論では フリジアン の短2度落としと呼ぶよ。トニック の短2度上からドンっと落とすんだ(言葉そのまま)。 キースケール が フリジアン で、ヘビー系な楽曲では頻繁に使われる表現だよ。
♭Ⅶ
って表記だけ見ると同主調をイメージする人も多いと思うけど、ここの背景スケールは
ⅵ、♭ⅶ、ⅰ、ⅱ、ⅲ、ⅳ、ⅴ
で下属短調の ドミナント コードと同じような状態だよ。センタートーンは変わってない転旋状態(Ⅵmに終止感がある状態)だから見た目で判断しないように注意だね。
キースケール:ロクリアン?
⑤ | ♭Ⅶ Ⅵm Ⅵdim | Ⅵdim
⑥ | ♭Ⅶ Ⅵm Ⅵdim | Ⅵdim
⑦ | ♭Ⅶ Ⅵm Ⅵdim | Ⅵdim
⑧ | ♭Ⅶ Ⅵm ♭Ⅵ | Ⅵm ♭Ⅶ Ⅵm
⑨ | Ⅵm(リフ:ⅲ–ⅱ–ⅰ)
その後の間奏ではもうひとつ ダイアトニック 外の音(和音)がある。それは
Ⅵdim={ⅵ、ⅰ、♭ⅲ}
こいつと フリジアン を加味すると、
♭ⅲ(コードの♭5)により
ⅵ、♭ⅶ、ⅰ、ⅱ、♭ⅲ、ⅳ、ⅴ:ロクリアン
になるんだけど、ここではそうは捉えず、トニックの
Ⅵm を Ⅵdim
に一時的に変化させる揺れと捉えてる。ロクリアンはもっとキモくもっとグロいのだ…おっと誰かきたようだ…
コーラス(ラスサビ)
コード進行:安定してエモい4-5-6
⑤ | Ⅳ Ⅴ | Ⅵm
⑥ | Ⅳ Ⅴ | Ⅵm
⑦ | Ⅳ Ⅴ | Ⅵm
⑧ | Ⅳ | Ⅳ
⑨ | Ⅲ7 | Ⅲ7
サビのラストスパートは畳み込むような4-5-6、日本人大大大大大好き(と僕は勝手に思ってる)至極のエモコード進行!小室進行とかカノン進行とか王道進行みたいになんか名前つけたいよね。でも誰でも使ってるし代表曲多すぎだしこれと言ってつけにくいね。
そんなコードがラストをガンガンに攻めてきてエモいね。
以上!
さてどうだったかな?ポイントとしてどうしても外せないのが、フリジアン の 短2度落とし!この手のヘビーな楽曲には最高似合うから是非使ってみよー!
それじゃーね!
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