実際のヒット曲で学ぶ音楽理論だよ!キミの音楽理論で整理した武器で楽曲を分析し、得られた知見をキミの音楽理論にフィードバックしてレベルアップいくんだ!
コード進行は「楽曲情報」ウィジェットで好きな調に移調できるから、分析やコピー演奏の際の参考に活用してみてね!
過去に耳コピ+分析した作品たちは カテゴリ検索 または 目次(手動更新のため不定期) から参照できるよ。それではいってみよー!
楽曲情報
今回分析するのは
アーティストは
KANA-BOONの
作品名:
フルドライブ!
飯田さんのご無事よかった…。
キーは Emだよ!ただ、本記事においては画像でCメジャーキーの画像を用いた解説を行っている箇所もあるので、一旦初期表示としてはAm表記にしておくよ。ほかのキーで読みたい人、原曲キーで演奏したい人は「楽曲情報ウィジェット」のプルダウンでキーを変えてね!
概要・ポイント
イントロ(0:00~)
① | Ⅵm | Ⅵm
② | Ⅵm | Ⅵm Ⅱm Ⅲm
③④:①②に同じ
⑤⑥:①②に同じ
⑦ | Ⅵm | Ⅵm
⑧ | Ⅵm | Ⅵm
⑨ | Ⅵm | Ⅵm Ⅱm Ⅲm
⑩、⑪、⑫:⑨に同じ
- マイナーペンタトニック!
- ユニゾン!
Aメロ1(0:36~)
① | Ⅵm | Ⅵm Ⅱm Ⅲm
②、③、④:①に同じ
⑤ | Ⅵm | Ⅵm Ⅱm Ⅲm
⑥、⑦、⑧:⑤に同じ
- マイナーペンタトニック!
- 一貫したリフ
Bメロ1(0:58~)
① | Ⅱm | Ⅲm Ⅲmadd♭13
② | Ⅵm | Ⅵm Ⅱm Ⅲm
③ | Ⅱm | Ⅱmadd11 Ⅱm7
④ | Ⅲm | Ⅲsus4 Ⅲ
- マイナーペンタトニック!
- sus4からの短調ドミナント
- 不安定なsus4(ピッチ低い)
サビ1(1:09~)
① | Ⅳ | Ⅲ7 Ⅰaug/Ⅲ(※)
② | Ⅵm | Ⅱm7
③ | Ⅳ | Ⅲ7 Ⅰaug/Ⅲ(※)
④ | Ⅵmadd9 Ⅵm/Ⅶ | Ⅵmadd11/Ⅰ Ⅵm/Ⅶ
⑤ | Ⅳ | Ⅲ7 Ⅰaug/Ⅲ(※)
⑥ | Ⅵm | Ⅱm7
⑦ | Ⅳ | Ⅲ7 Ⅰaug/Ⅲ(※)
⑧ | Ⅵm | Ⅵm
※演奏する上ではⅢaugでOK!
- Ⅲ7の不安さをaugで更に不安に(解決したい度UP)
- ピアノ単体や少ない楽器演奏するときは②と⑥のⅡmはⅡ7がいいかも
Aメロ2(1:30~)
① | Ⅵm | Ⅵm Ⅱm Ⅲm
②③④:①に同じ
⑤ | Ⅵm | Ⅵm Ⅱm Ⅲm
⑥⑦:⑤に同じ
⑧ | Ⅵm | Ⅵm Ⅵm/Ⅴ Ⅵm/Ⅳ Ⅵm/Ⅲm
- ⑥でブルーノート(ブルーススケール)
間奏(1:52~)
① | Ⅵm | Ⅵm Ⅵm/Ⅴ Ⅵm/♯Ⅴ
②③④:①に同じ
⑤ | Ⅵm | Ⅵm Ⅵm/Ⅴ Ⅵm/♯Ⅴ
⑥⑦:⑤に同じ
⑧ | Ⅵm | Ⅴ ♯Ⅴ
- マイナーペンタトニック!
- ①~⑦最後のベース音Ⅴ→♯ⅤがⅥmに突っ込む進行
- ⑧は上記を強引にコード全体でやる(結果的にはBメロ頭でスカす)
Bメロ1(2:13~)
① | Ⅱm | Ⅲm Ⅲmadd♭13
② | Ⅵm | Ⅵm Ⅱm Ⅲm
③ | Ⅱm | Ⅱmadd11 Ⅱm7
④ | Ⅲm | Ⅲsus4 Ⅲ
- マイナーペンタトニック!
- 短調ドミナント
- 不安定なsus4(ピッチ低い)
サビ2(2:24~)
① | Ⅳ | Ⅲ7 Ⅰaug/Ⅲ
② | Ⅵm | Ⅱm
③ | Ⅳ | Ⅲ7 Ⅰaug/Ⅲ
④ | Ⅵmadd9 Ⅵm/Ⅶ | Ⅵmadd11/Ⅰ Ⅵm/Ⅶ
⑤ | Ⅳ | Ⅲ7 Ⅰaug/Ⅲ
⑥ | Ⅵm | Ⅱ7
⑦ | Ⅳ | Ⅲ7 Ⅰaug/Ⅲ
⑧ | Ⅵmadd9 Ⅵm/Ⅶ | Ⅵmadd11/Ⅰ Ⅵm/Ⅶ
⑨ | Ⅳ | Ⅲ7 Ⅰaug/Ⅲ
⑩ | Ⅵm | Ⅱ
⑪⑫:⑨⑩に同じ
⑬⑭:⑨⑩に同じ
⑮ | Ⅳ | Ⅲ
アウトロ(3:05~)
① | Ⅵm | Ⅵm Ⅱm Ⅲm
②③:①に同じ
④ | Ⅵm | Ⅵm
楽曲分析詳細
全般
スケール:マイナーペンタトニック
言わずと知れたペンタトニックスケール(ヨナ抜き音階)のマイナーキー版!音階としては
ⅰ、ⅱ、ⅲ、ⅴ、ⅵ のペンタトニックスケールを
ⅵから並べたマイナースケール。
全体的にこのスケールが軸となった楽曲で、力強さや迫力感などの特色が強い作品になっているよ。
スケール:ブルーススケール(ブルーノート)
そんな中でたまに織り交ぜられるブルーノート。特に癖の強い
♭ⅲ
が使われて、更にロック色を強めている。
ⅵ→ⅰ→ⅱと来て次はⅲかな?と思いきや…
あと一歩届きそうで届かずの半音下、♭ⅲだったー!
というひねくれた音。僕のイメージは片方の眉毛吊り上げて「あ”-ん!?」って感じのひねくれ者(伝われ!!!w)、ワルだなーw
単純な
ⅰ → ⅱ → ⅲ
のリフも、最後の音をチョーキングで下からアプローチすることでブルーノート感を出してるね!
サウンド:ユニゾンの厚み/重み
そして、そのペンタトニック+α(ブルーノート)なリフをギター多重やベースとのユニゾンで厚みガンガンにしてくる。観客蹴散らすガッツリなロックだね。※ロック警察が来そうなので定義は語らないよ…w ユニゾンっていうのは同じ音階(オクターブ差も含む)を鳴らす形だよ。
Aメロ
スケール:濃いめペンタのメロディ
そんなペンタガンガン押しの作品の中でも特にAメロは分厚い。
音階って少なければ少なくなるほど濃さが増す。この辺は「和音は音数が増えるほど水っぽく主張が薄まる」の逆だね。(参照:『[コード]世界観を測る物差し!3和音で行こう!』-音の主張の強さ)
そして濃さがセンタートーン(トーナルセンター)に寄れば寄るほどベタ感・真正面感・幼稚さ・童謡感・強さ感、などなどオシャレの真逆方向が強まっていく。
例えば小さいころ「あ~そ~ぼ!」「い~い~よ!」とかってちょっとメロ付けた感じで言ってなかった?きっとこんな音階だったはず。
あ~そ~ぼ!
ⅵ~ⅴ~ⅵ!
わらべ歌の2音音階はほぼこの2音じゃないかな?(調は違うかもしれないけど) 3音音階だと
ⅲ→ⅴ→ⅵ や
ⅰ→ⅲ→ⅱ
が多い気がする。両方とも最後の音がセンタートーン。後者はみんなが知ってる例だと
も~い~かい?
ま~だだよ!
とかね。
で話を戻すと、この楽曲フルドライブのAメロのメロディはほぼこの前者になっている。例えばしょっぱなのAメロは
夕晩々、コイツは合図を待っ てい る
と3音音階、めっちゃ楽曲の中心で
ドーン!
と居座る図太いメロディになっている。
Bメロ
サウンド:不安定なsus4
① | Ⅱm | Ⅲm Ⅲmadd♭13
② | Ⅵm | Ⅵm Ⅱm Ⅲm
③ | Ⅱm | Ⅱmadd11 Ⅱm7
④ | Ⅲm | Ⅲsus4 Ⅲ
この④のⅡ小節目のsus4は、ギターの高音の
ⅵ
の音。この音は、下からのスライドで到達して鳴らしてるんだけど、それによってピッチの危うい不安定な音になっているね。これがsus4の解決したい感を強めてる気がする。
コード:sus4からの短調ドミナント
そこからsus4の解決!短調ドミナントへの着地で一気に短調中心に進みたい感だね。サビへのお膳立てばっちり!ここの音もビブラートの不安定さが進みたい(解決したい)感を煽る…!
サビ
コード:短調ドミナントを更に不安定にする代理のaug
① | Ⅳ | Ⅲ7 Ⅰaug/Ⅲ
② | Ⅵm | Ⅱm7
①の最後のコード、これは構成音としてみると
Ⅰaug/Ⅲ = Ⅲaug (←構成音として同じ)で
ⅰ、ⅲ、♯ⅴ が構成音
で、背景スケールをハーモニックマイナーにした短調の世界。短調ドミナントである
Ⅲ7
の代理コードだね。っていうか直前のコードがまさにそれ。それの亜種で、augコードにすることで同じ雰囲気のまま不安定さを前面に出した代用だ。
コード感変化:マイナーからサビの土台で盛り上げる
一般的に、サブドミナント(SD)、ドミナント(D)、トニック(T)は
長調
SD:Ⅳ
D :Ⅴ
T :Ⅰ
短調
SD:Ⅱm
D :Ⅲm
T :Ⅵm
と分類される。本サイトでは長調と短調は同一キーとして分類するから上記は共存してるんだけど、今回のAメロ、Bメロではほぼ登場人物は後者短調のコードたちばかり。
そんな中、サビに乗っかった土台冒頭で鳴ったのはⅣ.上に書いた長調側のSDで、少し前を向いた感があるね。サビに入ったゾ感を出してる!
でもすぐに
短調ドミナントのⅢ7
で短調側に引き込むから、決して明るくなりすぎず、ここまでの空気を壊さずサビを盛り上げることだけうまいことやってる。
サウンド:ボーカルとオケ隊のユニゾン
サビブロック④の
④ | Ⅵmadd9 Ⅵm/Ⅶ | Ⅵmadd11/Ⅰ Ⅵm/Ⅶ
快晴、汽笛鳴らせ
のところは、演奏する分には
Ⅵm一発
でいいんだけど、バンド全体で(特にベースとボーカルで)
ⅵ → ⅶ → ⅰ → ⅶ
のユニゾンを奏でて一体感とドラマティック感を出してるね。
間奏
コード進行:強引に突き進むクロマティックな接続
① | Ⅵm | Ⅵm Ⅵm/Ⅴ Ⅵm/♯Ⅴ
②③④:①に同じ
⑤ | Ⅵm | Ⅵm Ⅵm/Ⅴ Ⅵm/♯Ⅴ
⑥⑦:⑤に同じ
⑧ | Ⅵm | Ⅴ ♯Ⅴ
①の最後のコードは、背景スケールがハーモニックマイナーになったと考えるよりは、1拍という瞬間のものなので
ⅴからⅵへの経過音
と捉えてる。もちろんハーモニックマイナーに一瞬なったって考えても
Ⅵm
へのアプローチの感情説明としてはばっちりだね。
ここでの話題はこれではなく、⑧の最後のコード。これに関しては完全に経過音になっていて、強引さが強さやロック感を出してる。
※余談:よくある手法ではあるんだけど、誤解を恐れずに言うと「いわゆる整理された理論を無視する(=感情が引きずられやすい方向とは違うものを聴かせて感情の期待値を壊す)ことで、心理的なエネルギーが強まった状態だと考えてる。エネルギッシュでロックに感じる要因。でもこれも1つのテクだし、そう考えると理論の範疇だよ(ってわけわかんなくなるからここまでw
逆にこれをハーモニックマイナー上の代理コードにしちゃうと、少し綺麗にまとまりすぎちゃうけどそこにあった空気を壊したりはしない。
これは歪んだギターのパワーコードだからこそガチっとくるものっちゃそうなんだけど、もちろんピアノとか他の弦楽器とかでも強拍気味に演奏するとロックでカッコよくなるよ!優しくバラード等にするんだったら代理コードにした方がいいかもね(好みで!)
…
で、ここまでお膳立てしてⅥmへ行くと見せかけて、ここでは再度サブドミナントに踏みとどまったね。このBメロで消化せずエネルギーをためて、サビでガツンと消化だね!
終わり
今回はペンタトニック色の強い作品だったね。米津さんのパプリカ等の童謡感的ペンタトニックではなく、ブルーノートを加えることでどこか斜に構えたロックな作品になっている。
他にも書きたい点(スクラッチノイズ、前ノリなギター等々)あるけど、長くなりすぎるからここまで!
それじゃーね!
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