[耳コピ楽曲分析]リメンバー・ミー/石橋陽彩(映画主題歌)①コード分析編

[楽曲分析]リメンバー・ミー/石橋陽彩
LINEで送る
Pocket

実際のヒット曲で学ぶ音楽理論だよ!キミの音楽理論で整理した武器で楽曲を分析し、得られた知見をキミの音楽理論にフィードバックしてレベルアップいくんだ!

コード進行は「楽曲情報」ウィジェットで好きな調に移調できるから、分析やコピー演奏の際の参考に活用してみてね!

過去に耳コピ+分析した作品たちは カテゴリ検索 または 目次(手動更新のため不定期) から参照できるよ。それではいってみよー!


さて、今回の楽曲分析の題材は 映画 リメンバー・ミーの主題歌、 作品名 Remember Me (From “Coco”/Japanese Version) だよ!2017年公開の映画で、とてもとても素晴らしい作品…。見たことない人は必見だよ!

そんな最高の作品の主題歌を徹底解説するよ!

調Bだよ。♯が5つ、ドレファソラにつく調だ。

公式動画が埋め込めないようなので、ボーカロイドのGUMIに歌ってもらった動画を置いておくね。キーは原曲よりあげていて、Dにしているよ。記事内も初期表示はDキーに合わせておくので、必要に応じて「楽曲情報」ウィジェットのプルダウンで変更してね。

スポンサーリンク

コード進行

冒頭

① | Ⅳadd9/Ⅴ

サビ1

① | Ⅰadd9 | Ⅳm/♭Ⅵ
② | Ⅰadd9 | ♭Ⅶ7/♭Ⅵ Ⅲ7
③ | Ⅵm7   | ♭Ⅶ
④ |    | Ⅳm/♭Ⅵ Ⅳ/Ⅴ

⑤ | Ⅰadd9 | Ⅳm/♭Ⅵ
⑥ | Ⅰadd9 | Ⅴm7(13) Ⅰ7(13)
⑦ | ⅣM7(9) | Ⅲm7 Ⅲ7/♯Ⅴ Ⅵm
⑧ | ♭Ⅵ   | Ⅳ6  Ⅳ/Ⅴ

間奏1

① | Ⅰadd9 | ♭ⅦM7(9)
② | Ⅰadd9 | ♭ⅦM7(9)
③ | Ⅰadd9 | ♭ⅦM7(9) Ⅳ/Ⅴ

サビ2

① | Ⅰadd9 | Ⅳm/♭Ⅵ
② | Ⅰadd9 | ♭Ⅶ7 Ⅲ7
③ | Ⅵm7   | ♭Ⅶ
④ | ⅣM7   | Ⅳm/♭Ⅵ Ⅳ/Ⅴ

⑤ | Ⅰadd9 | Ⅳm/♭Ⅵ
⑥ | Ⅰadd9 | Ⅴm7(9)
⑦ | ⅣM7 | Ⅲm7 Ⅲ7/♯Ⅴ Ⅵm
⑧ | ♭Ⅵadd9   | Ⅳ6/Ⅴ  Ⅳ/Ⅴ

間奏2

① | | ♭Ⅶ  Ⅳ6add9 Ⅵm7
② | | ♭Ⅶ
③ | Ⅳadd9
④ | Ⅱm/Ⅴ

ラストサビ

① | Ⅰadd9 | Ⅳm/♭Ⅵ
② | Ⅰadd9 | Ⅴm7
③ | ⅣM7 | Ⅲm7 Ⅲ7/♯Ⅴ Ⅵm
④ | ♭Ⅵadd9   | Ⅳ6  Ⅳ/Ⅴ

① | Ⅰadd9 | ♭Ⅶ Ⅳadd9/Ⅵ
② | Ⅰadd9 | ♭Ⅶadd11 Ⅳ6/Ⅴ
③ | Ⅰadd9

コード分析

この作品はサビと間奏しかない。そのサビも奇数回と偶数回で微妙に変化を与えている。なんというか、その「多くを語らず」が歌い手聞き手の少ない思い出を共有するかのような切なさがあるね。はぁしんどい。。紐解いていこー。

冒頭

① | Ⅳadd9/Ⅴ

これから始める願い・思いを込めた弾き語りに多くは語らない、「いい子よ、さぁこの歌を聴いてくれ」と言わんばかりの一発。

サビの前半①~④

① | Ⅰadd9 | Ⅳm/♭Ⅵ
② | Ⅰadd9 | ♭Ⅶ7/♭Ⅵ Ⅲ7
③ | Ⅵm7   | ♭Ⅶ
④ |    | Ⅳm/♭Ⅵ Ⅳ/Ⅴ

少しづつ見ていこ―。

優しく陰るサブドミナントマイナー

① | Ⅰadd9 | Ⅳm/♭Ⅵ

①後半の

Ⅳm/♭Ⅵ

はいわゆる サブドミナントマイナー 。明るい中に陰った雰囲気を切なく落とす。キミの音楽理論の「マイナー化①Ⅳm:優しく陰る」で聴いたね。

広がった空気と力強い同主調ドミナント

② | Ⅰadd9 | ♭Ⅶ7/♭Ⅵ Ⅲ7

②の後半の

♭Ⅶ7/♭Ⅵ

は他調の借用コード。コード理論的には 同主調 借用の解釈でOK(詳細は後半の7CM分析編で。)

同主調 で広がった空気感・雰囲気の中で、ドミナント の力強さが前向きさを感じるね。この①と②の♭Ⅵをベースに持つ似たような進行箇所は、全般的に歌詞の対比が感じられて、

①の Ⅳm/♭Ⅵ

の陰った雰囲気の中で歌う歌詞は

  • お別れだけど
  • 寂しい夜は
  • 会えない時も

切ない事象の話、かたや

②の ♭Ⅶ7/♭Ⅵ

の広がりを感じさせる空気の中で歌う表現は、

  • 忘れないで
  • 心寄り添わせ
  • 愛に支えられ

という自分の感情ではなく、アクション。ポジティブ方向への行動に関するもの。ぐっとくるね。

エモく飛び立つ短調ドミナントモーション

② | Ⅰadd9 | ♭Ⅶ7/♭Ⅵ Ⅲ7
③ | Ⅵm7   | ♭Ⅶ

②から③への小節跨ぎで

Ⅲ7Ⅵm7

の短調の強いドミナントモーション。エモく飛び立ってる。これはキミの音楽理論の「メジャー化②Ⅲ:暗くキツく締め付けて飛ぶ!」でコードの雰囲気、「コード接続②(3)Ⅲm→Ⅵm(弱ドミナントモーション)」でコード接続の聴感を聴いたね。

下属調の進行借用

③ | Ⅵm7   | ♭Ⅶ
④ |    | Ⅳm/♭Ⅵ Ⅳ/Ⅴ

続いて③後半の

♭Ⅶ

は下属調の出来事

の借用状態(ルビのコード同じだね)。そのまま④への小節跨ぎで

♭Ⅶ →(④|)

と進むんだけど、ここまでが下属調の流れの借用で、下属調で見ると

→ (④|)

ってなっている。スタンダードな451という接続だね。

優しさ壊さないドミナント

④ |    | Ⅳm/♭Ⅵ Ⅳ/Ⅴ

④の2小節目でもまた サブドミナントマイナー だね。明るい中優しく陰っている。その2拍後の

Ⅳ/Ⅴ

は、一見よくわからないコードに見えて ドミナント コード。

Ⅴ7

ってどぎついトーンで、ひと細工加えないと真正面から「さぁ トニック に飛びましょう!」ってなる。まだ サブドミナントマイナー の優しい余韻に浸りたいのにね。

そんなときによく多用される「さりげなく トニック へ誘導してくれる」ドミナント も色々あって、Cキーで書くと

  1. Gsus4:シとファの トライトーン を回避してキツさ低減。でもまだ結構ド真ん中感
  2. Dm/G:3rdのシがなくて トライトーン 回避。9thのラがのって少しコードの真正面感は薄まってる。
  3. F/G:だいぶ「The G!」から遠のいていい感じに優しい ドミナント。3rdのシの代わりに4thのドの音があるのでGsus4に近い音構成。

とかとか。今回はこの3つめでうまいこと雰囲気を壊すことなく ドミナント として機能してる。

サビの後半の⑤~⑧

⑤ | Ⅰadd9 | Ⅳm
⑥ | Ⅰadd9 | Ⅴm7(13) Ⅰ7(13)
⑦ | ⅣM7(9) | Ⅲm7 Ⅲ7/♯Ⅴ Ⅵm
⑧ | ♭Ⅵ   | Ⅳ6  Ⅳ/Ⅴ

似た流れなので、微細に表現が変わっているところを見ていこー。

広がって落ち着きへ向かう下属調2-5-1

⑥ | Ⅰadd9 | Ⅴm7(13) Ⅰ7(13)
⑦ | ⅣM7(9) | Ⅲm7 Ⅲ7/♯Ⅴ Ⅵm

まずは⑥の後半、さっきの前半は

② | Ⅰadd9 | ♭Ⅶ7/♭Ⅵ Ⅲ7

だったね。②と⑥で後半を比較すると

♭Ⅶ7Ⅴm7

に変わっている。このコードは同主調借用のようだけど、下属調からの借り物。簡単な形で連続してみると、

Ⅴm7Ⅰ7 →(⑦|)

は下属調の

Ⅱm7Ⅴ7 →(⑦|)

の2-5-1の流れ。スムースな進行で、元調でいう サブドミナント

という落ち着くコードに到達だ。さっきは同じ下属調でも451を借りてきたケースがあったよね?それの251版だね。

キュンと差し迫る短調ドミナントモーション

⑦ | ⅣM7(9) | Ⅲm7 Ⅲ7/♯Ⅴ Ⅵm

そこから⑦後半は、徐々に差し迫る短調の ドミナントモーション だ。さっきもあったね。ダイアトニックな

Ⅲm7

ハーモニックマイナー 上のコード

Ⅲ7

に変化し、かつベース音が飛び先である

Ⅵm

の半音手前の音になって

Ⅲ7/♯Ⅴ

で差し迫ってる。最強のドミナントモーションだ。

同主調で大きく進みゆく♭Ⅵ

そして個人的に1番の聴かせどころ、

♭Ⅵ

これは同主調の

で、ここからⅠに向かうぞと期待に満ち満ち溢れているコード。ここの歌詞は

  • また抱きしめる
  • また会える

と希望に満ち溢れている!あぁ歌詞のリンクたるや…( ;∀;)

間奏

① | Ⅰadd9 | ♭ⅦM7(9)
② | Ⅰadd9 | ♭ⅦM7(9)
③ | Ⅰadd9 | ♭ⅦM7(9) Ⅳ/Ⅴ

ここもⅠの相手を務めるのは

♭Ⅶ

で、下属調の広がるイメージ。大きく手を広げて希望を掲げるような、あるいは父親の包容力のような。

まとめ

どうだったかな?今回のポイントをまとめると

  1. Ⅳm:優しい陰りのサブドミナントマイナー
  2. ♭Ⅶ7:広大に飛び立つ同主調ドミナント
  3. ♭Ⅶ→Ⅰ→Ⅳ:広大な下属調の451
  4. Ⅴm→Ⅰ→Ⅳ:広大な下属調の251
  5. ♭Ⅵ:大きく進みゆく同主調サブドミナント
  6. Ⅲ7/♯Ⅴ:エモく差し迫る短調ドミナントon3rd
  7. Ⅳ/Ⅴ:優しさ壊さないドミナント

とかとかかな。大枠で言うと1~5が♭系、6が♯系のノンダイアトニックなエモポイントで、7はダイアトニック内だけど繊細なエモポイントかな。♭系の広がる感じや♯系の迫る感じに感情揺さぶられたらその聴感大事にしとこ!

さらに

姉妹サイトで7CMっていうのをやっていて、新しい公理系の音楽理論(とそれを題材にしたファンタジー小説など)を構築しているよ。その理論体系での分析記事も書いていこうと思うんだ。

本作品をテーマに一度味見で書いてみるので、そちらもよろしくね!…とはいっても執筆時点(2020年2月頃)においては、7CMサイトの理論編ってそこまで執筆してないから、普段の僕のTwitter見てくれてる人くらいにしか伝わらないかも…7CMサイトも整備も頑張っていこう。

読んでくれてありがとー! ↓ よければランキングや広告ポチもお願いします!
  にほんブログ村 音楽ブログ 耳コピー・採譜へ  にほんブログ村 クラシックブログ 音楽理論へ

LINEで送る
Pocket