実際のヒット曲で学ぶ音楽理論だよ!キミの音楽理論で整理した武器で楽曲を分析し、得られた知見をキミの音楽理論にフィードバックしてレベルアップいくんだ!
コード進行は「楽曲情報」ウィジェットで好きな調に移調できるから、分析やコピー演奏の際の参考に活用してみてね!
過去に耳コピ+分析した作品たちは カテゴリ検索 または 目次(手動更新のため不定期) から参照できるよ。それではいってみよー!
目次
楽曲情報
今回は アーティスト: Linkin Park のアルバム「METEORA」より 作品名: Somewhere I Belong だよ。僕の大好きなバンド。僕は英語得意ではないけど、このアルバムは本当に悲痛が聞こえてくるような最高にエモいアルバムだと思う。もう一回生で歌声を聞きたいよ…R.I.Pチェスター…。
調は Bbmだよ。多分半音下げチューニングだと思うので、初期表示ではコード表記をBmで表示するね。必要に応じて楽曲情報ウィジェットで表示キーを変えてみてね!
前篇はこちら
この作品の凄いところは、静と動、爆発エネルギーが明確。それではいってみよー!
楽曲分析
前回の続き、サビからだよ!
サビ(コーラス)
コード:ピカルディの3度での願い
① | Ⅵ Ⅰ9 |ⅣM7 Ⅱm
② | Ⅵ Ⅰ9 |ⅣM7 Ⅱm
③ | Ⅵ Ⅰ9 |ⅣM7 Ⅱm
④ | Ⅵ Ⅰ9 |Ⅴ Ⅱm
冒頭主題でどーん!…とここでⅥmをⅥへとメジャーコード化させた。いわゆるピカルディの3度!音で言うと
ⅰ の音が ♯ⅰ
になり、本来暗い主題Ⅵmを明るく前向きに変えたね。更に言うとリードギターがその明るさの象徴の3度を踏んでいて、曲を持ち上げる「前をむくぞ」感がすごい。
歌詞を見てみるよ
I wanna heal, I wanna feel
(Erase all the pain ‘til it’s gone)
癒されたい、痛みを消し去りたい、その願いを背景のリードギターのピカルディの3度が押し上げて浄化してくれる、歌詞とコードがリンクするなんとも素晴らしい表現…
Aメロ(ヴァース)とサビ(コーラス)を対比すれば、ネガとポジ、静と動、孤独とつながり、痛みと癒し、似たような始まり(Ⅵルート)/終わり(Ⅱルート)なのにこんなにも正反対。コントラストが凄い。
…でも悲しいかなこれは現実ではない、これは願い、思いなんだ。
コード:Ⅰ9で広げる願い
コードの話に戻るね。2つ目のコードはナインスで「The・トニック」感を薄めて広がりを出してる。テンションコードは真正面感を軽減するね。
① | Ⅵ Ⅰ9 |ⅣM7 Ⅱm
②③は同上
④ | Ⅵ Ⅰ9 |Ⅴ Ⅱm
先ほどのピカルディの3度の音はボーカル裏のリードギターの音だったね。このⅠ9のナインスの音も同じくリードギターの音、さっきのピカルディの3度を半音上に押し上げた音だ。その動きだけで希望・願いを広げる感があるね。
コード進行:解決も向かいもしないⅡm再び
そして各最後のところだけど、全てⅡm。終止感も動き出したい感も1番少なく感じる「動かない 」直立感のあるコードだ。
① | Ⅵ Ⅰ9 |ⅣM7 Ⅱm
これもさ、よく聞くコード進行では
Ⅵ(またはⅥm)→Ⅰ→Ⅳ→ からの Ⅴ
とかとかの形で、最後に次の小節頭のトニックに向けてドミナント終わりにすることはよくあるね。4小節でぐるっと巡回する感じ。それと
④ | Ⅵ Ⅰ9 |Ⅴ Ⅱm
この④の進行だって、次はAメロのⅥmが待っているので
Ⅵ(またはⅥm)→Ⅰ→ からの Ⅴsus4→Ⅴ7
とかとか、一度sus4でⅤの上で揺れてから、大台のⅤというバネに乗っかって次の小節のⅥmにつなぐ、はよくあるよね。
…なんだけど、ここではⅤの次はAメロ同様Ⅱm。
ちょっとこれらを聞き比べてみよう。以下サンプルを用意したけど、後者がよくある進行に変更した版だよ。変更した版の具体的なコード進行は以下の通りで、①は原曲と同じコード進行のままにしてるよ。
① | Ⅵ Ⅰ9 | ⅣM7 Ⅱm ※原曲同じ
② | Ⅵ Ⅰ9 | ⅣM7 Ⅴ ※変更
③ | Ⅵ Ⅰ9 | ⅣM7 Ⅴ ※変更
④ | Ⅵ Ⅰ9 | Ⅴsus4 Ⅴ ※変更
どうかな?聞きなれた曲だから、という違和感はあるけど、それを差し引けば楽曲としてありはありだね。でも、なんだか前向きすぎてもうテーマが違う曲だ。
あくまで僕が感じたことを書くと、このⅡmによって終わらせない/進ませない、現状維持の繰り返し感を感じた。当事者目線だと「この先俺にはどんな結末が待っているんだろう」とただ目の前の現状と希望を眺めている情景。
大サビ(ブリッジ)
リズム:強拍のキメの主張
Ⅵm と同時にバンドの全体重がかかる頭2拍。小節頭2拍のドンッドンッ!ってとこね。QueenのWe will rock youよろしくこのリズム合わせは本当にエネルギーを感じるね。
ここのパートは50%がエネルギー溜め、50%が爆発と言っても過言ではないくらい。強いメッセージ性を感じる。
そしてここもまた歌詞がエネルギッシュなんだ、悲痛の叫びのような…
I will break away, I’ll find myself, today
強い決心!これはもう覚悟だよ。うぉぉぉ!!!
サビ(コーラス)3~アウトロ
① | Ⅵ Ⅰ9 |ⅣM7 Ⅱm
②③④同上
⑤ | Ⅵ/Ⅲ Ⅰ9 |ⅣM7 Ⅱm
⑥ | Ⅵ Ⅰ9 |Ⅴ Ⅱm
⑦ | Ⅵ
リズム:表拍のビートで推進
①~⑥までは同じようなコード進行の中、⑤からはビートが表に変わるね。1拍目からスネアが入る状態。いよいよラストに向けて進んでいくイメージだね。
コード:トニックの足元浮かす浮遊感Ⅵ/Ⅲ
そんな中、⑤の頭はオンコードで足元がふわりと浮遊感があるね。なんかピカルディの3度で目の前期待が光っているんだけど、足元は着地していない感。
コード進行:逆行のⅠ→Ⅴ→Ⅱmを進む強い意志/逆循環
⑥も似たようなコードと思いきや、3つ目のコードがⅣではなくⅤなんだ。(これは別に最後のサビだけじゃないんだけど、最後に書きたかったのでここに書いてるw)
一般的に知られているとてもスムースな進行として、循環進行/循環コード進行というものがあるんだ。Ⅰ→Ⅵm→Ⅱm→Ⅴ→Ⅰ→…とぐるぐる繰り返す進行。この作品のこのパートは、このスムースな流れに逆行するコード進行(Ⅵ→Ⅰ→Ⅴ→Ⅱm)になっていて強い意志を感じる。壁という壁を越えて進んでいる(コードをつないでいる)感じ。
もう一つ言うと、これまでⅥとⅠのトニックの流れを3つ目のコードはⅣというサブドミナントで受けて、これまたサブドミナントであるⅡmに横流ししていた。
Ⅵ(トニック)→Ⅰ(トニック)→
から
Ⅳ(サブドミナント)→Ⅱm(サブドミナント)
現状維持感があって、逆に言うとどこにも進むという意思(≒ドミナント)がない流れ。
最後のここだけはドミナントという「進むんだ」という意思につないでいる。希望を求めるサビの中に1点だけこの進む意思のドミナントが最後に照らされるんだ。
そしてⅡmで少し立ち止まったかのような状況からの最後⑦のだめ押しのⅥ!ピカルディの3度のⅥ! 暗い世界(平行調)のゴール(Ⅵm:短調トニック)に明かりが照らされた(長調化した)!
希望という光に包まれた…!
…
…実は僕が聞いた限りでは、⑦のコードの3rdがはっきり聞き取れなかったんだ。つまり最後のコードがメジャーコードⅥなのかマイナーコードⅥmなのか不明=長調終わりなのか短調なのか不明なんだ。
この人に光は届いたのか、聴き手に委ねるような結末…
はっきり単音としては拾えてないものの、僕には3rdが長3度(メジャーコード、長調終わり)に感じてるよ。キミにはどう聴こえてどんな結末が見えたかな?
終わりに
今回は、理論のための分析というよりも、僕個人の感想を交えた楽曲分析的なニュアンスが強かったので振り返りはいいかな?(感想文の押し付けになっちゃうからねw)
お疲れさまでした!
ということで、洋楽1発目はLinkin ParkのSomewhere I Belongでした!どうだったかな?
大好きな人も、初めて聞いたって人も、この分析記事がきっかけでより深みにはまっていってもらえると嬉しいなw
なかなかにアツいアルバムなので(ネガティブだけど…)ぜひぜひ聞きこんでね!
それじゃーね!
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