音楽の世界・音楽空間の中の距離という言葉で浮かべるものは何かな?音を高さ順に並べて数える距離かな?
今回はやや数学的な話が入ってくるけど、今後重要となる調の距離に関する話、また今後音楽を考える上で楽になる五度圏の話、そして余談としては結構音楽の本質的とも思われるメロディ的な距離(旋律的距離・メロディックディスタンス)、雰囲気的な距離(和声的距離・ハーモニックディスタンス)についてのお話だよ。
便利な考え方を知りたい人も、音楽の美しさを知りたい人も、今後の借用・転旋・転調などなどを身に着けていきたい人も是非読んでいってね!
目次
[便利な話]五度圏
いきなり数学的な話をしてもしょうがないので、便利な話から行こー!
五度圏の見方
このような図を見たことがあるかな?
これは五度圏(Circle Of Fifth)と言って、調を環状に並べた図だよ。ただ単に並べただけじゃない、右回りに完全五度移調する形で並べた図なんだ。Cの五度上のGを右隣、Gの五度上のDを右隣…と12個並べた形。
この図では、外側に長調としてのキー名、内側に短調としてのキー名を書いてるよ。一番上で言うと、CメジャーキーはAマイナーキーと同じキーだったね(一般的な理論では平行調)
そして一番中心側の数字は、調につく♯の数をプラスの数字、♭の数をマイナスの数字で書いてるよ。例えばGメジャーキーはソ、ラ、シ、ド、レ、ミ、ファ♯で♯が1個つくことを+1と書いてて、Fmキーはファ、ソ、ラ♭、シ♭、ド、レ♭、ミ♭で♭が4つ付くってことを-4って書いてるよ。
♯と♭の関係
右回りで調を見ていくと♯が増えるんだけど、ってことは逆回りだと♯が減るってことだね。DメジャーキーからGメジャーキーは♯が2つから1つに減る。一方でCメジャーキーからFメジャーキーを見ると元々♯がない状態から♭が1個付く。
「♯の反対は♭」って考えて足し算・引き算しても問題ないよ。例えば、♯が4つのEメジャーキーに♭が3つ付くような転調があったとすると、4(♯)-3(♭)=1(♯)で♯が1個のGメジャーキーになるんだ。
♯や♭がつく場所
♯や♭の数だけわかっても、適当につけちゃうとメジャースケール(ダイアトニックスケール)にならないから注意が必要なんだ。じゃーどこの音に♯や♭をつけるのかって言うと、
- [♯]1つ右隣の調で♯を付ける音は、1つ左隣の音
- [♭]1つ左隣の調で♭が付いた音は、2つ左隣の音 ※2つ左隣に書かれてる音の半音上の音は捨てる
っていう見方をするといいよ。Cメジャーキーから見た1つ右隣のGメジャーキーは1つ左隣のF(ファ)に♯が付くって見方。
♭の方がわかりにくいけど、Cメジャーキーから見た1つ左隣のFメジャーキーの場合は、2つ左隣のB♭(シ♭)が、その半音上のB(シ)と交代で入ってくるってこと、♭がついてB♭(シ♭)!
調ではなく、ダイアトニックコードとして活用
この五度圏の図に、こんな透明のシートを上において透かすってことを想像してみて。
これをね、Ⅰと書いてある所を確認したい調の上に重ねると、その調のディグリーたちがわかるんだ。
右に五度圏を再掲するので実際に見てほしいんだけど、例えばキーがDメジャーキーのときは外側Ⅳ、Ⅰ、Ⅴの場所がG,D,Aで、Ⅱm、Ⅵm、Ⅲm、(Ⅶdim)の場所がEm、Bm、F♯m、(C♯dim)ってなるね。早見できていいね!
五度下降(強進行)の確認
コード進行を考えていて、五度下降(強進行)したいな、五度下の音ってどこだろう?な~んて時にもこの図ですぐわかるね。時計回りが五度上、反時計回りが五度下だから隣を追うだけで確認できる!
トライトーンの確認
Bの反対がF、Eの反対がB♭…と、180度真逆の音がトライトーンの関係になっているよ!(後述)
とかとか、五度圏はいろいろ便利になるツールだよ!
[理論的話]音の距離
さて、五度圏の見方の次は、音の距離について考えていこう。冒頭の質問のお話、音楽空間・音楽の世界の中の距離ってどんなものがあると思う?
これはもうわかったよね。2つの音の間を半音で測る距離(単純に高さの比較のようなイメージの距離)と、 そしてそして今まさに見てきた五度で測る距離だね。
これらの距離(物差し)で登場人物たちの距離を実際にみてみよう。
半音距離
音は半音12個分でオクターブ、すなわち元の音と同音になるね。だから時計の文字盤にド(C)、レ♭(D♭)…と半音ずつ並べていくと時計のように目盛りで距離が測れる!
例えばド(C)とミ(E)の距離は?上の図だとE(時計の4時の場所)からC(時計の0時の場所)を見るので、4時-0時=4だね。つまりドとミは半音距離で4つ!ってな具合。
ちなみにラ(A)とレ(D)は何になる?
9時-2時=7・・・としたいところだけど、レ(D)からラ(A)までの時計回りの距離よりもラ(A)からレ(D)の時計回りの方が近いから、14時-9時=5と数えるよ。
あくまで音の近さを測りたいので、どっち周りかは気にしないし、一番短くなる測り方をする。オクターブ離れててもぐるぐる周ったりはしないよ。
5度距離
今度は五度圏を見てみよう。再掲するね。
ここでドからミへの距離は?やっぱり4だね。じゃーレとラは?隣だから距離1つだね!
2つの距離から見えること
これら2つの距離を見ると面白いことがある。それは、どちらの距離で見ても偶数番目の距離は音が一致している(逆に奇数番目は180度ひっくり返っている)って点と、どちらもある音の180度反対側にある音が同じ音になってるってこと。どちらで見てもBの反対はFだし、Eの反対はB♭だし。
特に後者については、「音として最も遠い位置」がどちらの測り方でもゆるぎないってことを言っている(今後裏という概念でまた出てくるよ)
この距離間隔は、悪魔の音程ともいわれるトライトーンだ。もっとも遠い音が悪魔の音だなんて、なんだか興味深いし音が調和しにくいって意味で凄くしっくりくるね。
他に距離はない?
他にも色々ありそうにも見えるけど…実はもうないんだ。これは数学的な話になるので、次の記事に書いてくね。
旋律的距離・和声的距離~合理的な楽器~
ところで、鍵盤楽器や弦楽器は横(主に右?)に行くと音高がどんどん高くなっていくよね。間に黒鍵盤が挟まったりしているけど、それらを一個ずつ横に見ていくと、その音の並びは半音距離で並べた音たちだっていうのはわかるよね。
そして特に弦楽器については、その横の並びが縦方向に複数ある。つまり弦という音階のレールが縦方向に数本ある!
さて、横方向が半音距離ということはわかったけども、縦方向の距離、つまり弦同士の距離ってどうなってるか知ってる?実は完全五度や完全四度なんだ(※)
低音弦から高音弦にかけてヴァイオリン、チェロやウクレレなどは五度、ギターやベースは四度の距離(※)になってるんだ。
※変則チューニングは除くよw そして厳密にはギターの2-3弦間だけが少し違うよ、概ね四度って話ね
半音距離で隣合う音達は、順々に連続して弾くと音高の落差がほぼないので心へのインパクトは少なく緩やかになるんだ。その反面、同時に鳴らすと濁りまくる。
五度距離で隣合う音達は、連続して弾くと音高の落差が大きくてインパクトは激しくなる反面、同時に鳴らすと濁りが少ない。
昔テレビでやってたけど、動物に音高のギャップが激しい曲(翼をくださいの「叶~う~な~ら~ば~」のとこだった気がする)を聞かせると、その瞬間だけ大興奮して鳴きまくる、っていうのもあったから音程落差の心理的インパクトは動物としての本能なのかもね。
何を言いたいかと言うと、半音距離はメロディに適した距離、五度距離は和音や調和的空気に適した距離っていうことなんだ。
ギターを弾くことを考えてみるとさ、メロディックなフレーズを弾くときは横方向の動き(運指)、裏手で雰囲気づくりに回るときは縦方向の動き(ストローク)なんじゃない?
聞かせるメロディックなギターソロなんてどうだろう?弦を跨いだピッキング回数よりも、同じ弦をピッキングする回数の方が多いんじゃない?こらそこのスウィープバリバリのギタリスト!それはメロディじゃない、メロディだと言い張るのはやめなさい!!!w
つまり音楽空間にある2つの距離、半音距離と五度距離は、それぞれメロディに長けている旋律的距離(メロディックディスタンス)と雰囲気づくりに長けている和声的距離(ハーモニックディスタンス)なんだ、ってことが言いたかったんだ。
まとめ
今回の話をまとめると
- 五度圏は便利なツール
- 調号は右回りで♯が増えて♭が減る、左回りで♭が増えて♯が減る
- [♯が付く場所]1つ右隣の調で♯を付ける音は、1つ左隣の音
- [♭が付く場所]1つ左隣の調で♭が付いた音は、2つ左隣の音 ※2つ左隣に書かれてる音の半音上の音は捨てる
- 五度圏からディグリーネームが把握できる(詳細は記事参照)
- 五度圏で、180度反対側に位置する音はトライトーン
- 音楽空間には2つの距離がある(それ以外ないって話は次回)
- 半音距離は旋律的距離
- 五度距離は和声的距離
この話は次回以降の近い調(近親調)や裏の調って記事で活用していくよ!次々回かな?
次回はもう少しこの音楽空間の距離について深堀するつもり!音楽的な内容も書くけど、少し数理的になるので興味あるキミは読んでみてね!(読まなくても先に進めるようにはするよ)
本シリーズはこちらだよ
それじゃーね!
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