目次
前回の振り返り
このシリーズはこちら
今回は、前回の音楽空間の距離と五度圏①便利な手法と音楽的話を補足するような話だよ、特に今回は数学的な話になるので、キミの音楽理論カテゴリからは外して、ラウンジ・ラボ記事として書くよ。音楽理論を先に進めたい人は読み飛ばしても大丈夫だよ!
注:数学や論理が嫌いな人は飛ばすことを推奨するよ
前回は音楽の中には半音距離と、五度距離という2つの距離があるってことを見たね。その距離で隣に音を並べていくとそれぞれこんな図になるね。
これら以外に距離が存在しないこと、むしろ音楽空間はこの2つの距離で形成されているってことを見ていこー!
時計と音楽の数学
ここから数学的な話をするので、音楽的な話だけ見たい人は[音楽的話]音楽的調和を深堀するに進んでね。
位数12の巡回群~時計空間~
時計距離空間
この図を見てみて。時計かな?内側のグレーゾーンにはよくわからない数字…。
外側の数字は時計回りに1ずつ増えていって、内側の数字は反時計回りに11ずつ増えていってるんだけど、内側の数字を12で割った余りは外側の数字になるんだ。
左上の10のとこから見ていくと、
22=12+10
33=24+9
44=36+8
55=48+7
66=60+6
77=72+5
88=84+4
99=96+3
110=108+2
121=120+1
ってね。文字盤の時計回り方向を+1コマだとすると、反時計回りに進む=-1するってことは+11するってことと同じだね。
続いてこちらはどうだろう?もっとわけわからない数字に見える時計…
外側の数字は変な並びになってるから、内側から見てみよう。
内側の、時計周りのオレンジ矢印は7ずつ増えていく数字。7,14,21…ってね。そして反時計回りのオレンジ矢印は5ずつ増えていく数字。5,10,15…って。いずれの数字も12で割った余りは一致するんだ。その数字を外側に書いてる。
例えば右上の7のところは55=48+7で12で割った余りが7だし、左下の8のところは56=48+8と20=12+8でどちらも12で割った余りが8になるね。つまり、文字盤を反時計回りに進む=-7するってことは+5するってことと同じだ。
時計①、時計②のどちらの文字盤も、外側の数字は1~12が1回ずつ表れているね。
2種類の物差し
12か所の文字盤に1~12の全ての数字が表れているということは、逆に言うと「1~12のどの2つの数字を選んでも、その間が何マス離れているかをこの円図形で測ることができる」ってことなんだ。
ちょっと難しいかな?実際に数字の『7』と『3』の距離を測ってみよう。
時計回りに+1する時計①の場合、『3』から時計回りに4マス、または反時計回りに8マス進めば『7』に到達するから、近い方を取って距離としては4だね。
時計回りに+7する時計の場合、『3』から時計回りに8マス、または反時計回りに4マスで『7』に到着するから、近い方を取って距離4になる。
このように1から12の数字のどの2つの数字を選んでも、距離が測れるんだ。つまり、12で割った余りっていう世界において+1でも+7でも、ずっと足し続けるといつか目的の数字に到達するんだ。
距離は他にはない
この+1、+7という二つの数字の距離を測る物差しは、ほかにはないんだ。これは数学的な話で、12と互いに素(最大公約数が1となる)数字しか物差しになれないからなんだ。
例えば4という数字を足し続けて12で割った余りを文字盤に並べてみると、
0、4、8、
12=0(+12)、16=4(+12)、20=8(+12)、
24=0(+24)、28=4(+24)、32=8(+24)…
ってな具合に数字は0と4と8の3種類しか出てこないから、例えば「『4』と『5』の距離」っていうのはこの物差しでは測れなくなる。『4』に何回4を足しても『5』って数字には到達しないからね。
もう一個例で、9という数字を足し続けて12で割った余りを並べると
0、9、18=6(+12)、27=3(+24)、
36=0(+36)、45=9(+36)、54=6(+48)、63=3(+60)、
72=0(+72)、81=9(+72)、90=6(+84)、99=3(+96)…
となって0,9,6,3の4つしか数字が出てこない。
一方で、1と5と7と11という数字は12回足してる間に12の倍数にはなることはなく、余りを見ると0~11の12個すべての数字が出現する。なので、12個の数字の間の距離を測る物差しとして妥当なんだ!
音楽空間は時計空間
12個の音からなる音楽に還元する
これと音楽に何の関係が…ってもう気づいてるキミもいるかもね?前回から話をしている五度圏がまさにこの+7の時計なんだ。
完全五度は、半音7個分。完全四度は半音5個分。つまり、五度上の音=半音+7の音=半音-5の音=四度下の音で、四度上の音=半音+5の音=半音-7の音=五度下の音って対応してるんだ。
これは若干余談だけど、音を時計回りに半音+1ずつ並べたのが半音圏でこんな感じ。
音楽には「半音」という距離と「五度」という距離しかないってことがわかったね。そして前回の話を振替しつつ還元するとこうなるよ。
旋律的距離と和声的距離の可視化
半音距離/メロディックディスタンス(旋律的距離)は、
- 半音距離はメロディに適した距離、メロディックディスタンス(旋律的距離)
- 半音距離が近いほどメロディは穏やか
- 半音距離が近い=半音圏上近いところの音(可視化)
五度距離/ハーモニックディスタンス(和声的距離)は、
- 五度距離は和音に適した距離、ハーモニックディスタンス(和声的距離)
- 五度距離が近いほど和音は調和的
- 五度距離が近い=五度圏上近いところの音(可視化)
という形で、円状の図形でメロディや和音、スケールの性質を可視化できそうだね。
次回はこの考えでダイアトニックの世界を改めて覗き見てみるよ!(Twitterでは見切り発車でツイートしちゃったw)
それじゃーね!
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