目次
7CM概要(ざっくり)
注意:本記事は新理論の分析記事で、少し難しいです
コード理論とは別で、7CM理論(※別サイト)っていう新しい音楽理論がある。今回はその理論体系での分析記事だよ。
7CM理論の体系をざっくり書くと、こうなるよ。
音楽は4つの層で出来ている。
- L4:単音、メロディ/旋律
- L3:和音、伴奏
- L2:調性
- L1:中心音
L3-L4層は実際に聴いてる実音、目に見える地上イメージ。L1-L2は実音ではないけどその時背景に感じてるスケール・感じている雰囲気等、地下イメージだよ。
いわゆるコード理論ってL3層を考察するのが主体。前回の記事でもコードがどうなってる/そのコードはどういう位置づけだ、って見てきたよね。言ってみればコードの機能を見ていく機能理論。
一方で7CM理論はL1-2層を考察するのがメインだよ。L3層の機能についてもこのL1-2上で見るんだ。L2は雰囲気を担うので、言ってみれば雰囲気理論。
前回の記事でコード視点での分析には触れたので、今度は7CM理論で分析して行くよ!7CM理論的には光彩(※)、機能(※)、7CM多層(※)あたりが関連するよ(※いずれも別サイト)。
楽曲情報
最後に見た方がいいんだけど、音楽確認のために一旦動画掲載するね。原曲はBキーだけど、このボカロ版はDにしてるよ。記事もそっちで表示してるので、必要であれば「楽曲情報」ウィジェットのプルダウンで変更してね。
コード進行 in 7CM
これまでとは違って、コードの下に「今どこにいるか」の調性を表す代表7CMを書いていくよ。表記はこんな形。
① | コード1 コード2 …
in | 7CM1 7CM2 …
奇数行がコード進行、偶数行が7CMの進行だよ。一旦全体像を書いて詳細説明を進めていくね。
冒頭
① | Ⅳadd9/Ⅴ
in | ⅠNM
サビ1
① | Ⅰadd9 | Ⅳm/♭Ⅵ
in | ⅠNM | ⅠHM
② | Ⅰadd9 | ♭Ⅶ7/♭Ⅵ Ⅲ7
in | ⅠNM | ⅠMM ⅥHm
③ | Ⅵm7 | ♭Ⅶ Ⅰ
in | ⅥNm | ⅠMixo
④ | Ⅳ | Ⅳm/♭Ⅵ Ⅳ/Ⅴ
in | ⅠNM | ⅠHM ⅠNM
⑤ | Ⅰadd9 | Ⅳm/♭Ⅵ
in | ⅠNM | ⅠHM
⑥ | Ⅰadd9 | Ⅴm7(13) Ⅰ7(13)
in | ⅠNM | ⅠMixo
⑦ | ⅣM7(9) | Ⅲm7 Ⅲ7/♯Ⅴ Ⅵm
in | ⅠNM | ⅥHm/Nm
⑧ | ♭Ⅵ | Ⅳ6 Ⅳ/Ⅴ
in | ⅠAeo | ⅠNM
間奏1
① | Ⅰadd9 | ♭ⅦM7(9)
in | ⅠNM | ⅠMixo
② | Ⅰadd9 | ♭ⅦM7(9)
in | ⅠNM | ⅠMixo
③ | Ⅰadd9 | ♭ⅦM7(9) Ⅳ/Ⅴ
in | ⅠNM | ⅠMixo ⅠNM
サビ2~
7CM分析としてはほぼ同じなので省略するよ。コードについては前回記事を見てね。
7CMと束分析(7CM理論)
この作品は以下の7CMを移りゆくよ。各7CMの定義はこっち(※別サイト)に書いてるよ。
- ⅠNM (ナチュラルメジャー)
- ⅠHM (ハーモニックメジャー)
- ⅠMixo (ミクソリディアン)
- ⅠMM (メロディックメジャー)
- ⅠAeo(Nm) (エオリアン)
- ⅥNm(Aeo) (ナチュラルマイナー)
- ⅥHm (ハーモニックマイナー)
コード理論的にはざっくり3種類くらいで認識するかな。大まかに言うと、1と6が通常状態、2~5が♭系方面で同主調って括られる状態たち、7が短調方面の♯系。
先に結論
- HMは主彩度減、陰る
- MMは主彩度・主輝度減、尖らず陰る
- Mixoは主輝度減、広大な感じ
- Aeoは主光彩(彩度・輝度・明度)減、壮大な感じ
- HmはNmの主輝度増、暗く尖る
これらの雰囲気=L1-L2層の調性と、L3の束(コード)の機能性を見ていこー。
サビ①~④
①7CM:Ⅳm/♭Ⅵ in ⅠHM
「♪リメンバー・ミー お別れだけど~」の2小節
① | Ⅰadd9 | Ⅳm/♭Ⅵ
in | ⅠNM | ⅠHM
この後半はHMで、元々のNMへの傾性がある状態だ。
上の図は、
- 「ⅠNM」「ⅥNm」「ⅠHM」…の1個1個が7CM
- 灰色四角で囲った「ⅥNm | ⅠNM」が調
- 緑円と青丸の7CM組合せがPMTで、緑円/青丸という状態
を表す図だよ。Ⅳm/♭Ⅵってコードはin ⅠHM/NMで、このコードによってⅠNMからⅠHMに飛び出した状態。
このHMは、明るい雰囲気の中で陰りを見せてくれる7CM。NMの主彩度(6th)を下げてギラ付き抑えた調性だね。コードは サブドミナントマイナー 。いわゆるコード理論だと 同主調 =ⅠAeoからの借用と認識されがちだけど、メロディが
ⅲの音
をなぞることから7CMはMMまたはHMだね。こんな心理プロセス↓
元々ⅠNM={ⅰ、ⅱ、ⅲ、ⅳ、ⅴ、ⅵ、ⅶ}
Ⅳm/♭Ⅵ={ⅳ、♭ⅵ、ⅰ}で上書きすると
変化後={ⅰ、ⅱ、ⅲ、ⅳ、ⅴ、♭ⅵ、ⅶ}=ⅠHM
残り香(ⅶの音)を考えると、HM優勢かな(♭ⅶを感じ取ってMMでもいいけどね)。
①機能:Ⅳm/♭Ⅵ = Sネガ in ⅠHM
さてここの機能を詳細に見よー。7CM理論の機能としてⅣmは
Ⅳm = sネガ in ⅠHM
であって、ベース音がSなので
Ⅳm/♭Ⅵ = S in ⅠHM
ってなる。一般的な機能用語に落とし込むと、HM上のサブドミナント。ここはトニックとサブドミナントの繰り返しで揺りかご進行だね。
ここでもしトニックⅠのときに6thの音が聞こえていたら、明確に in ⅠHMに戻ったってなるんだけど、そんなこともないのでⅠ in ⅠHMのままだとしても成立しちゃう。
Ⅰ in ⅠHM/NM
つまりここはHMとNMをゆ~ったり行き来してるファジーな調性だね。なんとなくNMにいてもHMのほんのり切ない陰りを引きずってる感がしない?
②(1)7CM:♭Ⅶ7 in ⅠMM
「♪リメンバー・ミー 忘れないで~」の2小節
② | Ⅰadd9 | ♭Ⅶ7/♭Ⅵ Ⅲ7
in | ⅠNM | ⅠMM ⅥHm
について見ていこ―。上記2小節目1個目のコードは
♭Ⅶ7/♭Ⅵ={♭ⅶ、ⅱ、ⅳ、♭ⅵ}
が構成音で、残り香更新すると7CMは
{ⅰ、ⅱ、ⅲ、ⅳ、ⅴ、♭ⅵ、♭ⅶ}=ⅠMM
になるね。MMはNMの主輝度(7度)と主彩度(6度)下げた調性。同主調Nmから見ると、主明度(3度)を上げて明るくした調性。聴感的には明るさを保って広大に広がる感じかな。
②(1)機能:♭Ⅶ7 = lケバ in ⅠMM
ここの束(コード)の機能を見てみよー。
♭Ⅶ7 = lケバ in ⅠMM
- ベース♭Ⅶ→l(小文字エル)機能
- 完全五度あり→固め
- 長3度→ポジティブ
- トライトーン内包→音の束ね方がケバケバ、動力強め
総じて動力の強い ドミナント 寄りの サブドミナント だね。 D機能ではないので中心音じゃない方向への5度下(減5度)引力もあって、Ⅲ方面への進行も納得感ある状態。
②(2)7CM:Ⅲ7 in ⅥHm
ここから実際にⅢ7に進行してスムースだね。このコードによって調性は
Ⅲ7 in ⅥHm
になる。これは
ⅥNm={ⅵ、ⅶ、ⅰ、ⅱ、ⅲ、ⅳ、ⅴ}
の主輝度7th(ⅴ)がプラス(♯ⅴ)で
ⅥHm={ⅵ、ⅶ、ⅰ、ⅱ、ⅲ、ⅳ、♯ⅴ}
となってギラついてる空気だね。独特なキツめの切ないやつ。
②(2)機能:Ⅲ7 = D in ⅥHm
ここでの機能は
- ベースⅢ→D機能
- 完全5度あり→固め
- 長3度→ポジティブ
- トライトーン内包→音の束ね方がケバケバ、動力強め
でいわゆる ドミナント。1個前の♭Ⅶ7コードからの流れを見ると、l(エル)からDへとドミナント性を強めつつ、五度下進行でスムースに繋げた感じだ。緊張感を維持してるね。この流れを7CM側で見ると
調の重心がⅠからⅥに変わった(灰色四角内の水色が移動した)ね。いわゆる平行調への遷移。このⅢ7は短調ドミナントであって、この次のコードでちゃんとⅥmへドミナントモーションしているよ。
③7CM:♭Ⅶ in ⅠMixo
「♪たとえ離れても~心ひとつ~」の2小節
③ | Ⅵm7 | ♭Ⅶ Ⅰ
in | ⅥNm | ⅠMixo
の最後のⅠについてだけど、終止感が薄く感じるかな。それはMixoが連れてきた風によるもの。RMTで見るとこの調性は、
♭Ⅶ in ⅠMixo | ⅣNM
という多層調性だね。分解してみると
♭Ⅶ in ⅠMixo
と
Ⅳ in ⅠNM
で、下属調側の景色へも片足半分突っ込んでいる状態。
③(1)機能:♭Ⅶ = ls in ⅠMixo | ⅣNM
多層調性の7CMそれぞれで機能を見ると、
♭Ⅶ = l(小文字エル) in ⅠMixo
と
Ⅳ = s in ⅠNM
となる。つまりlsという機能状態。完全なsではないから「中心音ⅰへ向かいたさのある サブドミナント」って感じだね。
③(2)機能:Ⅰ = TD in ⅠMixo | ⅣNM
続くコードのⅠもⅠMixo と ⅣNM両方に存在してるコードなので、「ⅠMixo | ⅣNM」の多層調性が継続してるって見れる。そこ上の機能を見てみよー。
Ⅰ = T in ⅠMixo
と
Ⅴ = D in ⅠNM
となるね。主機能はTでトニックなんだけど、重心次第でD性も持つ、つまりここで完全に終止しきるにはちょっと動きたさが残っちゃってる感じだね。
③(2)機能:Ⅳ = sT in ⅠMixo | ⅣNM
そのままⅠのサブ機能であるD機能(ドミナント 性)の引力に導かれて次のコードはⅣに到達する。ここも多層調性継続で機能を見てみよー。
Ⅳ = s in ⅠMixo
と
Ⅰ = T in ⅠNM
だね。sもTも動力はほぼないってくらいに落ち着いたポジション。ここまでを7CM遷移の図で見るとこんな感じで、まずⅠMixoに入ったよね。
なんだけど、MixoはNMの調整が剥がれた状態なので、NMへ傾性があるね。つまり一連のコードの流れの中で中間をふわふわするようなファジーな状態。
④7CM: Ⅳm/♭Ⅵ in ⅠHM
「♪おまえを想い唄う~この歌~」の2小節
④ | Ⅳ | Ⅳm/♭Ⅵ Ⅳ/Ⅴ
in | ⅠNM | ⅠHM ⅠNM
再度ⅠHMだね。これは割愛!
④機能:Ⅳ/Ⅴ
あ、でも一個7CM観点で束の機能を見ておこー。L1-2層は普通のNMだけどね。
Ⅳ/Ⅴ in ⅠNM
なんだけど、これは
- ベースⅤ→D機能
- 完全5度なし→固くない
- 上にⅣの束
- Ⅳ→s機能
- 完全5度あり→固め
- 長3度→ポジティブ
- トライトーンなし→ケバくない束(動力弱い)
という束状態で、基本機能ⅤはDとして強い性質を持たず、サブ機能Ⅳのsの落ち着き加減で機能力を分散・中和しているって感じかな。直前のHMの優しい陰りを壊すことなく ドミナント 機能を仕掛けに来てる、さりげない ドミナント。
サビ⑤~⑧
さてサビ後半
⑤ | Ⅰadd9 | Ⅳm/♭Ⅵ
in | ⅠNM | ⅠHM
⑥ | Ⅰadd9 | Ⅴm7(13) Ⅰ7(13)
in | ⅠNM | ⅠMixo
⑦ | ⅣM7(9) | Ⅲm7 Ⅲ7/♯Ⅴ Ⅵm
in | ⅠNM | ⅥHm/Nm
⑧ | ♭Ⅵ | Ⅳ6 Ⅳ/Ⅴ
in | ⅠAeo | ⅠNM
サビ後半また違う展開になってるね。②と⑥のところも微細に違ってる。
⑥7CM:Ⅴm7(13) in ⅠMixo
「♪リメンバー・ミー ギターの音色は~」の2小節
⑥ | Ⅰadd9 | Ⅴm7(13) Ⅰ7(13)
in | ⅠNM | ⅠMixo
2小節目冒頭のコードによる7CM変化を見てみよー。
Ⅴm7(13)={ⅴ、♭ⅶ、ⅱ、ⅳ、ⅲ}が
ⅠNM={ⅰ、ⅱ、ⅲ、ⅳ、ⅴ、ⅵ、ⅶ}を更新して
ⅠMixo={ⅰ、ⅱ、ⅲ、ⅳ、ⅴ、ⅵ、♭ⅶ}
にしているね。実際には6thの音は聞こえてないからⅠMMの可能性もあるけど、その次のⅠ7(13)が
♭ⅵではなくⅵ
を鳴らしているのでⅠMixoで確定だね。そうサビ前半の②のときとはちょっと違うんだ。②はMMで⑥はMixo、微細な変化!
⑥(1)機能:Ⅴm7 = Dl in ⅠMixo | ⅣNM
ここのⅤm7(13)の機能は
- ベースⅤ→D機能
- 完全5度あり→固め
- 短3度あり→ネガティブ
- 上に♭Ⅶ機能あり
- ♭Ⅵ→l(小文字エル)機能
- 完全5度あり→固め
- 長3度あり→ポジティブ
- トライトーンあり→ケバケバ束
なので、少し動力のある非活性気味のD機能、優しめのドミナントって感じだね。下属調ⅣNMとのRMTで見ると
Ⅴm7 = D in ⅠMixo
と
Ⅱm7 = l in ⅠNM
になるね。下属調ⅣNM側ではl(小文字エル)で下属調のトニックへ行きたいよ、って以下のような引力をこの時点から気持ち仕込まれてる感じ。
Ⅱm7 → Ⅰ
ここで挟む2→1の間にⅤを挟む251のⅤと、元の調でいうⅤm7のドミナント性としていきたいⅠがコードとして同じ。納得の進行!
⑥(2)機能:Ⅰ7 = TD in ⅠMixo | ⅣNM
ってことでⅠに到達。これは③(2)と同じだね。
⑦7CM:Ⅲ7/♯Ⅴ in ⅥHm
「♪優しく見守り包み込む~」の2小節
⑦ | ⅣM7(9) | Ⅲm7 Ⅲ7/♯Ⅴ Ⅵm
in | ⅠNM | ⅥHm/Nm
これの
Ⅲ7/♯Ⅴ
はの7CMは②(2)と同じだね。機能側を見てみよー。
⑦機能:Ⅲ7/♯Ⅴ = D+L in ⅥHm
分解するとこうなる
主機能♯ⅤがLかつケバ束でⅥ方面に行きたい、かつ複機能Ⅲが調和のとれたポジティブなDで、これもケバケバ束。総じてⅢ7を加速するような強いD、短調ドミナントだね。
⑧♭Ⅵ in ⅠAeo
⑧ | ♭Ⅵ | Ⅳ6 Ⅳ/Ⅴ
in | ⅠAeo | ⅠNM
最後、この1個目のコードは機械的に見ると
♭Ⅵ={♭ⅵ、ⅰ、♭ⅲ}が残り香更新して
{ⅰ、ⅱ、♭ⅲ、ⅳ、ⅴ、♭ⅵ、ⅶ}=ⅠHm
と捉えれそうだけど、聴感は明るいよね。ここはNmに傾性を持つ
ⅠHm/Nm
というよりも、心がトニックにⅠを求めてる状態、つまりⅠNMへ傾性がある
ⅠAeo/NM
と見る方が素直だね。
上図では青丸がⅠNm側に移動してるわけではなく、元々のⅠNMを基調とする状態だね。
間奏1
① | Ⅰadd9 | ♭ⅦM7(9)
in | ⅠNM | ⅠMixo
② | Ⅰadd9 | ♭ⅦM7(9)
in | ⅠNM | ⅠMixo
③ | Ⅰadd9 | ♭ⅦM7(9) Ⅳ/Ⅴ
in | ⅠNM | ⅠMixo ⅠNM
①7CM:♭ⅦM7(9) in ⅠMixo
ここはⅠNMの明るさに加えて7thが♭で6thが♮なのでⅠMixoだね。Ⅰadd9自体もⅠMixo内に存在するコードだから、NMとMixoの間をフワフワしてる感じ。
なんとなくⅠadd9のときも♭Ⅶに次行きたいなって気持ちにならない?
まとめ動画(調性のみ)
ってことで7CM理論での「調性(光彩)」と「機能」の分析を同時に見てみたよ。今回登場した調性・7CM範疇はこんなとこだったね。キミなりの聴感を整理して覚えよー!
- HMは陰る、主彩度減
- MMは尖らず陰る、主彩度・主輝度減
- Mixoは広大、主輝度減
- Aeoは壮大、主光彩(彩度・輝度・明度)減
- Hmは暗く尖る、Nmの主輝度増
調性(光彩)については動画の方で雰囲気確認してみてね。
それじゃーね!
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