キミはコード進行ってどの程度知ってる?mM7を使いこなしたりできる?それはⅥmM7?ⅣmM7?僕はね、
全っ然わからない…!
テクニカルなエモいコード進行とかって先人たちはどう見つけてるんだろうね。鍵盤触っててたまたま「これ!これだよこれ!エモいよ!」なんて感じることはあるけど、神のように生み出してく作曲家たち、頭の中見てみたい。
今回は、これに対する回答になるんじゃないかなっていう新しいアプローチ・試みをするよ!その名も
背景スケールメソッド
という、コード進行にエッセンスを与えるもの。まだ試行中のアイデアだよ。
詳細は別途構築していくつもりだけど、ざっくり言うと以下を(基本的な)原則として音楽の匂いを変えていく手法だよ。
- 音楽を聴いている瞬間瞬間・小節の中で、同時に鳴らしても違和感のない音たちがある(背景スケール)
- 背景スケールは(原則)7つ以下の音でできている。(7音公理)
- 8つ目の音が聞こえたら、(原則)元の7つの音のどれかが変化した状態。(背景スケール変化)
- 音楽の雰囲気の本質は、背景スケールと基音(ルート)にある。コードはそこ上の束ね方(コードの形は結果論)
とかとか、まだまだ細かいところは検証・整理中だけどね。実際に一度作られたコード進行の背景スケールを変更して雰囲気がどのように変わっていくかを見ていこー!
コード理論に詳しい人も、本記事では一旦忘れて上記を体験してみてね。
目次
楽曲情報
お題はハナヤマタというアニメのOP作品、花ハ踊レヤいろはにほだよ。本当はこの作品のサビの分析記事を書くつもりだったんだけど、書き方を逆にして「こうやって編曲していく」っていう架空アレンジプロセス記事の方が有益そうで面白いかなって。
作曲者:田中秀和で、調は、冒頭はFmだよ!今回は動画の見やすさのためにCに直してるからそのつもりで見てみてね。
原曲(原曲とは言ってない)
テーマ作品のリバースアレンジング
まずは対象作品のCメジャーキーアレンジ前状態を聴いてみよう。といっても本当に元々こういう作曲だったかってのは空想の世界だよ。あくまで
ダイアトニック内(黒鍵盤使わない世界)だとどういう表現か
という形で仮定した音源だよ。動画は37秒~54秒。
このコード進行は
①ⅣM7 ②ⅣM7 ③Ⅲm7 ④Ⅵm7
⑤Ⅱm7 ⑥Ⅲm7 ⑦Ⅵm7 ⑧Ⅴ7
⑨ⅣM7 ⑩ⅣM7 ⑪Ⅲm7 ⑫Ⅵm7
⑬Ⅱm7 ⑭Ⅰ6/Ⅲ ⑮Ⅳ ⑯Ⅴsus4
だよ。ダイアトニック のままだと特にエモさもないね。今回は前篇としてこの①~⑧の8小節のアレンジ過程を見ていくよ。
エモくアレンジしていく
②小節目の変更(⇒HM-s)
①ⅣM7 ②ⅣM7 ③Ⅲm7 ④Ⅵm7
②小節目のコードは サブドミナント 。ここは①と同じコードだと少し味気ないよね。ちょっと陰る切ない感じに変更したい。
ハーモニックメジャー スケールという背景スケールは陰る雰囲気にピッタリの背景スケール。これを後ろに敷いてみよう。
さぁ、聞いてみて。効果はあるかな?動画は54秒~1分16秒。
陰りを感じたかな?そして、この背景スケール変更による結果としてコードも変わるよ。コードは背景スケール上から拾い集めた音、という考えなので、元の
ⅣM7 ={ⅳ、ⅵ、ⅰ、ⅲ}
は、
ⅣmM7 ={ⅳ、♭ⅵ、ⅰ、ⅲ}
になる。コード理論でいうところの サブドミナントマイナー だね。でも サブドミナントマイナー ってよく 同主調 上の 借用 って聞くけど、今回のコードはよく見るとコード7th=ⅲの音が 同主調 上ではないね。あれ?
「似てるからだいたい同じ」って言葉で済ましてもいいけど、今回は背景スケール主体の話だから着眼点を変えよう。
この陰った雰囲気の原因は ハーモニックメジャー によるもの。そのスケール上でピックアップした サブドミナント の和音がその陰った匂いを引き連れてきた。結果的にコードの形が
ⅣmM7
になった、って考えるとわかりやすいかな。こうなったよ↓
①ⅣM7 ②ⅣmM7 ③Ⅲm7 ④Ⅵm7
④小節目の変更(⇒ドリアン)
④小節目は一旦 短調トニック に着地するところだね。ここももう一声手を加えて、いわゆるトニック真正面な落ち着きました感を減らしたい。まだサビ途中だし続きがあるからね。じゃ、少し鋭利な感じに尖ってみようか。
尖る雰囲気、 ドリアン / リディアン なんてギラつく匂いがするかな。今回は トーナルセンター が
ⅵ
にあると見て、名称的には ドリアン だ。
じゃー聞いてみて。動画は1分17秒から1分39秒だ。
少しギラついた感じわかる?コードも変化したね。こうなったよ↓
①ⅣM7 ②ⅣmM7 ③Ⅲm7 ④♯Ⅳm7♭5
④小節目の変更(⇒ドリアン×Hm-s)
もう一声手を加えて、尖りながらも引締めた感じにしてみようか。引き締める感じってコード理論観点で言うと
Ⅲ7
のあの感じがいいね。これも 背景スケール 観点で言うと、このコードが雰囲気の理由ではなくって背景の ハーモニックマイナー 自体に匂いを持っていると考えるんだ。じゃーそれ採用して背景スケールを変えちゃおう!
…でもここは ドリアン 状態、つまりファがシャープした Eマイナーキー のスケールの形を持った状態だから、Eマイナーキー上のハーモニックマイナーを考えよう。つまり
Aドリアン×Eハーモニックマイナー
でやってみるよ。下の図はE ハーモニックマイナー の図だよ。
聴いてみよー。動画は1分40秒から2分2秒だ。
尖ったままぐっと引き締ったのわかるかな?コードも背景スケールの上で変わったね。こうなったよ↓
①ⅣM7 ②ⅣmM7 ③Ⅲm7 ④♯Ⅱdim7
⑥小節目の変更(⇒Hm-s)
⑤Ⅱm7 ⑥Ⅲm7 ⑦Ⅵm7 ⑧Ⅴ7
⑥小節目もぐっと引締めちゃおう。つまり背景をハーモニックマイナーに変えるよ。
これはさっきEマイナーキー上ので聴いたから想像できるね。よし聴いてみよー!2分4秒から2分23秒まで。
うん、この感じだよね!コード理論的な観点でもよく知れた納得できちゃう引締め具合だね。こうなったよ↓
⑤Ⅱm7 ⑥Ⅲ7 ⑦Ⅵm7 ⑧Ⅴ7
⑥小節目の変更(⇒Aug/Hm-s)
続いて背景スケール変更ではないんだけど、背景スケールの匂いはそのままでコードの型を変える、という考えでコードを変えてみよー!
ここの感触を「不安」な感じにしてみよっか。augなんていいね、dimとは違ってふわっとした不安感。引き締った匂いそのままでできるかな?
コード構成音をチョイスする上で、背景スケールが変わったことを感じさせるために、ハーモニックマイナー の特性の
♯ⅴ
に触れることは必要。この場合
Ⅰaug/Ⅲ={ⅰ、ⅲ、♯ⅴ}
なんてちょうどいいね。
よし、聴いてみよー。動画は2分24秒から2分45秒。
不安感、伝わったかな?ちょっと一瞬だったから微妙かな?ちなみに一瞬不安にさせたものを
Ⅲ7
に小解決する形になってるよ。僕はこのaugをⅢ7のsuspendedだと思ってる。コード進行はこうなったよ↓
⑤Ⅱm7 ⑥Ⅰaug/Ⅲ ⑦Ⅵm7 ⑧Ⅴ7
⑧小節目の変更(⇒ミクソリディアン)
⑧小節目が凄くバカ真面目だよね。ダイアトニックだからってのもあるし、スカすことなく真正面な ドミナントセブンス だからってのもあるね。このまじめ感・真正面感をボカすのに
- Gsus4
- G6
- Dm7/G
とかとかよく使われるよね。
今回は 背景スケール ごと変えて匂いをごっそり変えちゃおう。少し広がりを見せる感じにしたいな。うってつけなのは ミクソリディアン!
下属調の メジャースケール 状態だね。さぁ聞いてみよー!動画は2分46秒から3分9秒。
少し広がった感じわかったかな?コード進行はこうなったよ↓
⑤Ⅱm7 ⑥Ⅰaug/Ⅲ ⑦Ⅵm7 ⑧Ⅴm7
⑧小節目の変更(⇒251モーション/ミクソリディアン)
広がりっぱなしの開放感もいいけど次に繋げたいよね。後押ししてグイグイ引っ張りたい。
強いモーションと言ったら…5度下降!(4度進行、強進行)特に251モーションなんて最高に強いね。
さっき変化した ミクソリディアン 状態を 下属調 として見ると…お、
Ⅱm7 で始まり次の小節はⅠM7
じゃないっすか。都合がいい。てことは間に
Ⅴ7
を挟んであげたら五度下降続きになるね。
Ⅱm7 → Ⅴ7 → ⅠM7
これは 下属調 の中での話なので、このコード進行を元の調でみたら
Ⅴm7 → Ⅰ7 → ⅣM7
だ。聞いてみよー。動画は3分10秒から3分34秒。
うまい流れが出来たね。ここはあくまで背景スケール変更のはなしではないけど、背景スケールで他の調を見立てて、そっちの調(下属調)の世界想像してそこの中での出来事を持ってきた感じだ。コード進行はこうなったよ↓
⑤Ⅱm7 ⑥Ⅰaug/Ⅲ ⑦Ⅵm7 ⑧Ⅴm7 Ⅰ7
⑧小節目の変更(⇒251モーション/ミクソリディアン×HM-s)
でもま、さっきのはコード理論でも常套句だよね。禁断のコード進行(※注:=関ジャム自体の解説内容。≠関ジャムでのオーイシマサヨシさんのクロマティックな解説の方ではなく)そのものだ。次は更に陰りを加えてみよー!
陰りといえば…さっきも聞いた ハーモニックメジャー だね!でも ハーモニックメジャー まんま採用すると ミクソリディアン が消えてしまう。ここは特性音の足し算で ハーモニックメジャー 特性の
♭ⅵ
を採用するね、聞いてみよー!動画は3分36秒から最後まで!
陰りも感じるけど不安が強いね。それもそのはず、コード内にaugが仕上がっちゃってるもんね。さっきの
ⅣmM7
のときと大きく異なるのは、さっきのは ハーモニックメジャー 自体が元のスケール(のトニック)への帰着を求める陰りであるのに対して、今回のはどちらかと言うと
Ⅳ
への進行力もまぁまぁ強めにある。結果的に次のコードがⅣなのでばっちり効果的になってるね。
この進行力の理由として、ミクソリディアン (下属調連想)状態が混ざってることによるのかなって思う。ここはまだまだ掘り下げれてないけどね、僕の聴感。それに加えて
ⅰ = ⅳ の5度上
のベースによる引力も強いかなって。
一旦ここまで
さてサビの前半はここまで!どうだったかな?「背景スケールとはなんぞや」の定義やら説明をかなりすっ飛ばしての実践だったけど、手法的な観点で効果を何となくでもお伝え出来たかな。
次回はお題同じでサビ後半を見ていく(予定だ)よー!そしてその次は、実際に背景スケール分析したときのやりかたを書こうかと!
それじゃーね!
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