実際のヒット曲で学ぶ音楽理論だよ!キミの音楽理論で整理した武器で楽曲を分析し、得られた知見をキミの音楽理論にフィードバックしてレベルアップいくんだ!
コード進行は「楽曲情報」ウィジェットで好きな調に移調できるから、分析やコピー演奏の際の参考に活用してみてね!
過去に耳コピ+分析した作品たちは カテゴリ検索 または 目次(手動更新のため不定期) から参照できるよ。それではいってみよー!
以下3本立てで書いてくよ!それぞれ見たいところを見てね!
- [演奏向け]かんたんコード進行 → ちょろっと簡単に演奏したい人!
- [分析向け]コード進行詳細 → ニュアンス近い演奏したい人!
- 楽曲分析 → この作品を聴いて生じる感情の理論分析!
楽曲情報
アーティストは KANA-BOON、 作品名は さくらのうただよ。今回から演奏しやすいコード進行と、分析用コード進行を書いてくよ!
調は E だよ!♯4つね!初期表示ではコード表記をCメジャーキーで表示するから、ウィジェットで変更してみてね。
[演奏向け]かんたんコード進行
イントロ
①| Ⅳ | Ⅳ | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰ/Ⅲ
②| Ⅱm | ♯Ⅴdim | Ⅵm | Ⅴm Ⅰ/Ⅴ
③| Ⅳ | Ⅳ | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰ/Ⅲ
④| Ⅱm | Ⅱm/Ⅴ | Ⅰ | Ⅰsus4 Ⅰ
⑤| Ⅳ | Ⅳ | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰ/Ⅲ
⑥| Ⅱm | ♯Ⅴdim | Ⅵm | Ⅴ
⑦| Ⅳ | Ⅳ | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰ/Ⅲ
⑧| Ⅱm | Ⅴ | Ⅰ | Ⅰsus4 Ⅰ
Aメロ1
①| Ⅳ | Ⅳ | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰ/Ⅲ
②| Ⅱm | ♯Ⅴdim | Ⅵm | Ⅴm
③| Ⅳ | Ⅳ | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰ/Ⅲ
④| Ⅱm | Ⅴ | Ⅰ | Ⅰsus4 Ⅰ
Bメロ1
①| Ⅰ/Ⅲ | Ⅳ | Ⅱ/♯Ⅳ | Ⅴ
②| Ⅲ/♯Ⅴ | Ⅵm | Ⅳ | Ⅴ
③| Ⅰ/Ⅲ | Ⅳ | Ⅱ/♯Ⅳ | Ⅴ
④| Ⅲ/♯Ⅴ | Ⅵm | Ⅳ | Ⅴ
サビ1
①| Ⅳ | Ⅳ | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰ/Ⅲ
②| Ⅱm | ♯Ⅴdim | Ⅵm | Ⅴ
③| Ⅳ | Ⅳ | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰ/Ⅲ
④| Ⅱm | Ⅴ | Ⅰ | Ⅰsus4 Ⅰ
Aメロ2~Bメロ3
しばらくパートごと同じのため、省略。
最後サビ
①| Ⅳsus2 | Ⅳsus2 | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰ/Ⅲ
②| Ⅱm7 | ♯Ⅴdim7 | Ⅵm | Ⅴ
③| ⅣM7 | ⅣM7 | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰ/Ⅲ
④| Ⅱm7 | Ⅴ7 | Ⅵm Ⅲ7/♯Ⅴ | Ⅵm/Ⅴ Ⅱ7/♯Ⅳ
⑤| Ⅳ | Ⅴ
アウトロ
①| Ⅳ | Ⅳ | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰ/Ⅲ
②| Ⅱm | ♯Ⅴdim | Ⅵm | Ⅴ
③| Ⅳ | Ⅳ | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰ/Ⅲ
④| Ⅱm | Ⅴ | Ⅰ | Ⅰsus4 Ⅰ
⑤| Ⅳ | Ⅳ | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰ/Ⅲ
⑥| Ⅱm | Ⅱm/Ⅴ | Ⅰ | Ⅰsus4 Ⅰ
[分析向け]コード進行詳細
イントロ
①| ⅣM7(9) | ⅣM7(9) | Ⅰadd13/Ⅲ | Ⅰadd13/Ⅲ
②| Ⅱm7 | ♯Ⅴdim7 | Ⅵm | Ⅴm Ⅰ7/Ⅴ
③| ⅣM7(9) | ⅣM7(9) | Ⅰadd13/Ⅲ | Ⅰadd13/Ⅲ
④| Ⅱm7 | Ⅱm/Ⅴ | Ⅰadd13 | Ⅰsus4add13 Ⅰadd13
⑤| ⅣM7(9) | ⅣM7(9,13) | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰadd(9,11)/Ⅲ Ⅰ/Ⅲ
⑥| Ⅱm7 | ♯Ⅴdim7 | Ⅵ7sus4 Ⅵm | Ⅴ Ⅴadd11
⑦| ⅣM7(9) | ⅣM7(9,13) | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰadd(9,11)/Ⅲ
⑧| Ⅱm7 | Ⅴ7 Ⅴ7add13 | Ⅰ | Ⅰsus4 Ⅰ
Aメロ1
①| ⅣM7(9) | ⅣM7(9) | Ⅰadd13/Ⅲ | Ⅰadd13/Ⅲ
②| Ⅱm7(9) | ♯Ⅴdim7(♭9) Ⅲ7/♯Ⅴ | Ⅵm | Ⅴm7(9) Ⅴm7(11)
③| ⅣM7(9) | ⅣM7(9) | Ⅰadd13/Ⅲ | Ⅰadd13/Ⅲ
④| Ⅱm7(9) | Ⅴ7 Ⅴ6 | Ⅰ | Ⅰsus4 Ⅰ
Bメロ1
①| Ⅰ/Ⅲ | Ⅳ | Ⅱ7/♯Ⅳ | Ⅴ
②| Ⅲ7add♭13/♯Ⅴ | Ⅵm7 | Ⅳ | Ⅴ
③| Ⅰ/Ⅲ | Ⅳ | Ⅱ7/♯Ⅳ | Ⅴ
④| Ⅲ7add♭13/♯Ⅴ | Ⅵm7 | Ⅳ | Ⅴ7 ⅣM7/Ⅵ Ⅴ7
サビ1
①| ⅣM7(9) | ⅣM7(9,13) | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰadd(9,11)/Ⅲ Ⅰ/Ⅲ
②| Ⅱm7 | ♯Ⅴdim7 | Ⅵ7sus4 Ⅵm | Ⅴ Ⅴadd11
③| ⅣM7(9) | ⅣM7(9,13) | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰadd(9,11)/Ⅲ Ⅰ/Ⅲ
④| Ⅱm7 | Ⅴ7 Ⅴ7add13 | Ⅰ | Ⅰsus4 Ⅰ
Aメロ2
①| ⅣM7(9) | ⅣM7(9) | Ⅰadd13/Ⅲ | Ⅰadd13/Ⅲ
②| Ⅱm7(9) | ♯Ⅴdim7(♭9) Ⅲ7/♯Ⅴ | Ⅵm | Ⅴm7(9) Ⅴm7(11)
③| ⅣM7(9) | ⅣM7(9) | Ⅰadd13/Ⅲ | Ⅰadd13/Ⅲ
④| Ⅱm7(9) | Ⅴ7 Ⅴ6 | Ⅰ | Ⅰsus4 Ⅰ
Bメロ2
①| Ⅰ/Ⅲ | Ⅳ | Ⅱ7/♯Ⅳ | Ⅴ
②| Ⅲ7add♭13/♯Ⅴ | Ⅵm7 | Ⅳ | Ⅴ
③| Ⅰ/Ⅲ | Ⅳ | Ⅱ7/♯Ⅳ | Ⅴ
④| Ⅲ7add♭13/♯Ⅴ | Ⅵm7 | Ⅳ | Ⅴ7 ⅣM7/Ⅵ Ⅴ7
サビ2
①| ⅣM7(9) | ⅣM7(9,13) | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰadd(9,11)/Ⅲ Ⅰ/Ⅲ
②| Ⅱm7 | ♯Ⅴdim7 | Ⅵ7sus4 Ⅵm | Ⅴ Ⅴadd11
③| ⅣM7(9) | ⅣM7(9,13) | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰadd(9,11)/Ⅲ Ⅰ/Ⅲ
④| Ⅱm7 | Ⅴ7 Ⅴ7add13 | Ⅰ | Ⅰsus4 Ⅰ
間奏
①| ⅣM7 | ⅣM7 | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰ/Ⅲ
②| Ⅱm7 | ♯Ⅴdim7 | Ⅵm | Ⅴ
③| ⅣM7 | ⅣM7 | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰ/Ⅲ
④| Ⅱm7 | Ⅴ | Ⅰ | Ⅰsus4 Ⅰ
Bメロ3
①| Ⅰadd9/Ⅲ | Ⅳ6 | Ⅱ7/♯Ⅳ | Ⅴadd9
②| ♯Ⅴdim7 | Ⅵm7add11 | Ⅳ | Ⅴ7(9)
③| Ⅰ/Ⅲ | Ⅳ | Ⅱ7/♯Ⅳ | Ⅴ
④| Ⅲ7add♭13/♯Ⅴ | Ⅵm7 | Ⅳ | Ⅴ
⑤| Ⅰ/Ⅲ | Ⅳ | Ⅱ7/♯Ⅳ | Ⅴ
⑥| Ⅲ7add♭13/♯Ⅴ | Ⅵm7 | Ⅳ | Ⅴ7 ⅣM7/Ⅵ Ⅴ7
サビ3
①| Ⅳsus2 | Ⅳsus2 | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰadd(9,11)/Ⅲ Ⅰ/Ⅲ
②| Ⅱm7 | ♯Ⅴdim7 | Ⅵ7sus4 Ⅵm | Ⅴ Ⅴadd11
③| ⅣM7(9) | ⅣM7(9,13) | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰadd(9,11)/Ⅲ Ⅰ/Ⅲ
④| Ⅱm7 | Ⅴ7 | Ⅵm Ⅲ7/♯Ⅴ | Ⅵm/Ⅴ Ⅱ7/♯Ⅳ
⑤| Ⅳ | Ⅴ6
アウトロ
①| ⅣM7(9) | ⅣM7(9,13) | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰadd(9,11)/Ⅲ Ⅰ/Ⅲ
②| Ⅱm7 | ♯Ⅴdim7 | Ⅵ7sus4 Ⅵm | Ⅴ Ⅴadd11
③| ⅣM7(9) | ⅣM7(9,13) | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰadd(9,11)/Ⅲ
④| Ⅱm7 | Ⅴ7 Ⅴ7add13 | Ⅰ | Ⅰsus4 Ⅰ
⑤| ⅣM7(9) | ⅣM7(9) | Ⅰadd13/Ⅲ | Ⅰadd13/Ⅲ
⑥| Ⅱm7 | Ⅱm/Ⅴ | Ⅰadd13 | Ⅰsus4add13 Ⅰadd13
楽曲分析
イントロ
①| ⅣM7(9) | ⅣM7(9) | Ⅰadd13/Ⅲ | Ⅰadd13/Ⅲ
②| Ⅱm7 | ♯Ⅴdim7 | Ⅵm | Ⅴm Ⅰ7/Ⅴ
③| ⅣM7(9) | ⅣM7(9) | Ⅰadd13/Ⅲ | Ⅰadd13/Ⅲ
④| Ⅱm7 | Ⅱm/Ⅴ | Ⅰadd13 | Ⅰsus4add13 Ⅰadd13
⑤| ⅣM7(9) | ⅣM7(9,13) | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰadd(9,11)/Ⅲ Ⅰ/Ⅲ
⑥| Ⅱm7 | ♯Ⅴdim7 | Ⅵ7sus4 Ⅵm | Ⅴ Ⅴadd11
⑦| ⅣM7(9) | ⅣM7(9,13) | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰadd(9,11)/Ⅲ
⑧| Ⅱm7 | Ⅴ7 Ⅴ7add13 | Ⅰ | Ⅰsus4 Ⅰ
- 全体的にテンション多めで主張弱めたオシャレっぽさ
- メインコード(Ⅳ)の上でトニックを持ち上げて、音数多めで水っぽくするⅣM7(9)=Ⅳ+Ⅵm+Ⅰ
- Ⅰ/Ⅲ≒Ⅲm、トニック感(終止感)がほぼない主役
- いわゆるパッシングディミニッシュ系の♯Ⅴdim7、これの正体はⅢ7/♯Ⅴ、Ⅵmに最強に迫るドミナントコード亜種
- Ⅴm→Ⅰ→Ⅳの正体は下属調の2-5-1
- Ⅴm→Ⅰ→Ⅳはギターメロディが入るとこではⅤに変化
詳細を見ていこー!
コード:テンションおしゃれ感
楽曲を通してテンション多め。和音は増えれば増えるほど根音(ルート)の主張が弱まる(トライトーンを避けて選ぶ必要あるけど)のでオシャレになってる。(参考:[コード]世界観を測る物差し!3和音で行こう! : 音の主張の強さ)
①| ⅣM7(9) | ⅣM7(9) | ~
①の最初のコードをトライアドで分解すると
ⅣM(9) = ⅳ, ⅵ, ⅰ, ⅲ, ⅴ
= Ⅳ (=ⅳ, ⅵ, ⅰ)
+ Ⅵm (=ⅵ, ⅰ, ⅲ)
+ Ⅰ (=ⅰ, ⅲ, ⅴ)
って分解できるよね。ベースや低音側でメインのコードの主張をしつつ、トニックであるⅥmやⅠを載せるのはオシャレにするポイントだね。ⅥmもⅠもトーナルセンター候補のトニックたちなので、Ⅳの主張を壊すことなくオシャレにしてくれてる。
ミスチルのHANABIの分析(サビ篇)のⅣM7(9,♯11)でも書いたけど、ⅳから3度堆積を重ねると、トライトーンや短2度の音がなかなか入ってこないので、すごく水っぽく透明なオシャレ度をアゲていけるね!
コード:Ⅰ/Ⅲ
①| ~| Ⅰadd13/Ⅲ | Ⅰadd13/Ⅲ
③| ~ | Ⅰadd13/Ⅲ | Ⅰadd13/Ⅲ
⑤| ~ | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰadd(9,11)/Ⅲ Ⅰ/Ⅲ
⑦| ~ | Ⅰ/Ⅲ | Ⅰadd(9,11)/Ⅲ
Ⅰ/Ⅲ!転回系と呼ばれるコードの形。実質Ⅰの中身の高さを回転させただけだしⅠと同じでしょ!…って気もしなくもないよね。でもそんなことはないんだ(些細だけどね)
Ⅰ/Ⅲというコードはトニック感(終止感=「ここで曲終わりたい!」という感情)をやや失って、機能的にはⅢmに近い状態。「終わらないよ、これから進んでくよって」気持ちの入ったⅢmの明るい版。
ここのコードをⅠにしちゃうと明るく突き抜けちゃうね。転回系が凄くいい感じ。
コード進行:パッシングディミニッシュ♯Ⅴdim7の正体
②| Ⅱm7 | ♯Ⅴdim7 | Ⅵm | Ⅴm Ⅰ7/Ⅴ
⑥| Ⅱm7 | ♯Ⅴdim7 | Ⅵ7sus4 Ⅵm | Ⅴ Ⅴadd11
②や⑥の2小節目でⅥmの前に♯Ⅴdim7が出てきている。よくある解説なんかでは
Ⅴ→Ⅵmの間に、これらの間のコード♯Ⅴdim7が経過的に使える
なーんて言われてるこのパッシングディミニッシュコード、ただ強引にⅤとⅥmに挟まれた音を“経過的”に鳴らしてるわけじゃないんだ。ちゃんと有効性があって、、、
こいつの正体はⅢ7/♯Ⅴ
なのだ!コードの上層部ではⅢ7からⅥmへのドミナントモーションを綺麗に決めてるんだ。そりゃーⅥmにがっちり決まるわけだね!
少し掘り下げて背景スケールを解説すると、直前まで心はダイアトニックスケールの世界(記事:[ダイアトニックスケール]白鍵盤というハズさない音階参照)に浸ってる。下図はCメジャースケールの例だけど、ダイアトニックスケールについて大事なのは「白鍵盤の距離間隔(半音が0,2,4,5,7,9,11個分の音たち)」の形ってこと。
この心の状態から♯Ⅴdim7を聴いたことにより、この瞬間の心の中の背景スケールはⅴが♯ⅴに上書き更新されちゃった状態になるんだ。
元々:ⅰ, ⅱ, ⅲ, ⅳ, ⅴ, ⅵ, ⅶ
変化:ⅰ, ⅱ, ⅲ, ⅳ, ♯ⅴ, ⅵ, ⅶ
つまりⅵから見たハーモニックマイナースケールだね。
ⅵ, ⅶ, ⅰ, ⅱ, ⅲ, ⅳ, ♯ⅴ,
調性音楽の重要な柱として「匂い:スケール」「機能:ルート×コード」というものを考えると、極端な話「匂い:ハーモニックマイナー」と「機能:♯Ⅴ(×何か)」を軸に適当にコードを作れば、ここの文脈はだいたい成立するんだ(かなり暴論…)。
匂いのハーモニックマイナーについては、♯ⅴの音だけ聞かせれば他の6個の音はダイアトニックのまま心の中にあるからOK!
適当なコードを作る/当てる上で、濁らないように音を重ねないと、コードがその機能を発揮する前に「うわ、このコード濁りすぎてきつくて聞きたくない」っていう心理が働くからそこは注意だね。
そうなるとスケール上の3度か4度で重ねていくんだけど、まぁ通常は3度だね。さて、再掲の右図のスケール上で♯ⅴを含む3度距離で重ねた3和音(1-3-5番目,3-5-7番目,5-7-2番目で作る)や、4和音をいくつか挙げてみると…
- ♯Ⅴdim ※トライアド、♯Ⅴm♭5と同じ
- ♯Ⅴdim7 ※これが作品中使われてる
- Ⅲ/♯Ⅴ ※トライアド
- Ⅲ7/♯Ⅴ ※上記3のセブンス化
- Ⅰaug/♯Ⅴ ※トライアド
- Ⅰaug add9/♯Ⅴ ※上記5のアドナインス
こんなとこかな。Ⅰaug7(9)とか5和音以上は外したよ。
コードの選択ポイントを考えてみよー!2和音間の性質や3和音の性質から各コードの特性が見えてくる:
- ♯Ⅴdim → dimはトライトーンが1つあってきつい、トライアドは主張濃い
- ♯Ⅴdim7 → 上記1にトライトーンが追加されてもっときつい
- Ⅲ/♯Ⅴ → 濁らない、調和!響きは暗いがコードは綺麗!
- Ⅲ 7/♯Ⅴ → 上記3にトライトーンがくっついて調和の中にきつさがある
- Ⅰaug/♯Ⅴ → augは不安定!暗さの中に不安さ(安定のなさ)がある
- Ⅰaug add9/♯Ⅴ → 上記5にトライトーンが入ってきつさもある
とかとかざ~っくり僕視点。例えば「濁らせず主張強めにしたい」ならば上記3、「とにかく暗くきつく不安定にさせたい」ならば上記6、とかとかそんな選び方ができるね。些細なことだけど、細かくニュアンスが表現できるね。
コード進行:Ⅵm→Ⅴm→Ⅰ→ Ⅳ系
②| Ⅱm7 | ♯Ⅴdim7 | Ⅵm | Ⅴm Ⅰ7/Ⅴ
③| ⅣM7(9) ~
⑥| Ⅱm7 | ♯Ⅴdim7 | Ⅵ7sus4 Ⅵm | Ⅴ Ⅴadd11
⑦| ⅣM7(9) ~
②の最後から③にかけてのコード進行
②| ~ | Ⅵm | Ⅴm Ⅰ7/Ⅴ ③| ⅣM7(9) ~
はJ-POPの小節最後とかでも結構よく見るⅤm→Ⅰ→|(小節跨いで)Ⅳの進行。そういえばこれ、関ジャムでオーイシマサヨシさんが「禁断のコード進行」っていう名前で紹介してたなー。
番組内での紹介はどちらかというと「Ⅵm→Ⅴm(ついでに→Ⅰまで)」がクローズアップされてて、「本来Ⅵmからクリシェ下降で行きたいところ」を「強引に平行移動(ⅤルートのコードもⅥm同様にマイナーコード=Ⅴm)した」ことによる浮遊感的な紹介だったけど、理論的に説明できるよ!よし心情分析だ!
突然スケールアウトした(※ダイアトニック以外の音が入り込んだ)Ⅴmを聞いた瞬間に何を感じているか。ミスチルのHANABI(大サビ篇)でも解説したけど、心がダイアトニックに世界にいる状況で突如出てきた
Ⅴmは
Ⅲmよりも
Ⅱmに
聞こえることも多いんだ。同主調ではなく下属調に。なぜか、っていうのは背景スケールを意識すると見えてくる。
Ⅴmを聞く直前まで心はダイアトニックスケールの世界にいて、突如出てきたⅤm(=ⅴ, ♭ⅶ, ⅱ)により、ⅶが♭する形で心の中のスケールを上書き更新する、こんな感じ:
元々:ⅰ, ⅱ, ⅲ, ⅳ, ⅴ, ⅵ, ⅶ
変化:ⅰ, ⅱ, ⅲ, ⅳ, ⅴ, ⅵ, ♭ⅶ
これって下属調の音たちと同じなんだ。以下ルビの実音名を見てみてね。
ⅴ, ⅵ, ⅶ, ⅰ, ⅱ, ⅲ, ⅳ
同じでしょ?一連のコード進行を下属調で見てみると…?
元々: Ⅴm Ⅰ7/Ⅴ ③| ⅣM7(9) ~
読替: Ⅱm Ⅴ7/Ⅱ ③| ⅠM7(9) ~
はいばっちり下属調の2-5-1モーションでした!
コード2つ目のⅠ7もさっきのⅠ/Ⅲと同様、転回系で大人しくしてるね。
⑥| ~ Ⅵm | Ⅴ Ⅴadd11 ⑦| ⅣM7(9) ~
一方でイントロ後半の⑥から⑦にかけては前半のものとほぼ同じコード進行と思いきや、このⅤmの流れが普通のⅤになっちゃってる。僕の考えはこう。
まず、音の♯方向への変化は「キツさ」「迫る」「攻める」「とがった感じ」を感じることが多く(文字通りsharpにとがる感じ)、♭変化っていうのは「柔らかさ」「間抜けさ」「滑稽さ」「広大さ」「広がった感じ」を感じることが多い(文字通り出っ張りやトゲや角などをflatにした感じ)。僕主観だけど。ホールトーンなんて間抜けや滑稽さの最たるもんだね。
で、Ⅴmというのは♭系。さっき見た前半イントロのⅤm→Ⅰ→Ⅳでは
- 広がる感じのⅤmから
- 本来トニックのⅠ(一旦明るいんだけど終止感なし、下属調から借用中)行って
- 開始感のあるⅣにうまくパス!
といった進行。
一方で後半イントロは、Ⅴというメジャーコードによってさっきの♭ⅶがⅶに戻って、まさにトニックⅰに「迫る」感じを演出してる。お!ドミナントとしてやる気出したなって感じ。♭ⅶ⇔ⅰという全音距離だったのがⅶ⇔ⅰという半音の距離に一歩詰め寄ったポジションに戻ったんだ。
そしてメロディを歪んだリードギターが弾くことで、メロディも一歩攻めてるのかなって。(またそのリードギターがⅶ→ⅰへと実際にⅰにアプローチして攻め攻め!)
メロディのない前半の広大感から攻める感じに転向したイメージ!
…っと一旦ここまで!まとめ
さて、簡単コード表記も手伝って記事が長くなっちゃったね。ここらで一旦区切るよ!要点を整理しよー!
- 全体的にテンション多めで主張弱めたオシャレっぽさ
- メインコード(Ⅳ)の上でトニックを持ち上げて、音数多めで水っぽくするⅣM7(9)=Ⅳ+Ⅵm+Ⅰ
- Ⅰ/Ⅲ≒Ⅲm、トニック感(終止感)がほぼない主役
- いわゆるパッシングディミニッシュ系の♯Ⅴdim7、これの正体はⅢ7/♯Ⅴ、Ⅵmに最強に迫るドミナントコード亜種
- Ⅴm→Ⅰ→Ⅳの正体は下属調の2-5-1
- Ⅴm→Ⅰ→Ⅳはギターメロディが入るとこではⅤに変化
やる気と余力と需要があったら(ないない)実際に打ち込んで動画も作ろうかなって思ったけど…気が向いたら!
それじゃーね!
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コメント
[…] 以下3本立てのうち上の2本は[耳コピ分析]さくらのうた/KANA-BOON(コード進行+①イントロ篇)で書いてるから見てね!それぞれ見たいところを見てね! […]
[…] [演奏向け]かんたんコード進行 → ちょろっと簡単に演奏したい人! […]
[…] さくらのうた/KANA-BOON①イントロ篇でも書いたね。Ⅰ/Ⅲはほぼ終止感なく、Ⅲmのように「前(Ⅳ)に進もう!」とか「ゴール(Ⅵm)に行こう!」っていう進みたい状態。一旦前(Ⅳ)に進んでここからベース音が一気に半音ずつ上がっていくよ! […]
[…] [演奏向け]かんたんコード進行 → ちょろっと簡単に演奏したい人! […]