楽器の音がドレミの音名で語りかけてくる
世間の人が誤解している絶対音感の話と、僕の音楽理論構築のベースにもなっている絶対音感が教えてくれる音楽の秘密の話を書いてくよ。初のコラム的な記事?かな。
ここから先、断定的に書く内容は、僕個人に起きてる事象として書くので、万人がそうだとか絶対音感の人みんながそうかってところまでは言及しないよ。これ、注意書きね。
このコラムの延長線上に書きたい理論があるので、不定期更新だけど今後「コラム:絶対音感と音楽の秘密」というタグで整理していくね。
目次
絶対音感とは
世間のイメージ
絶対音感と聞いて何を想像するだろう?楽譜を見ただけで頭の中で音楽が再現できる人?流れてくる音楽をそのままその場で演奏出来ちゃう人?色々あると思うけど、世間のイメージはおそらく
「テーブルをバンと叩いてその音を当てられる人」
のようなどんな音も音階で当てられる人のイメージが強いのかなって僕の周りを見てて思う。
僕が思うものとそんなにかけ離れてはないんだけど、僕の身に起きている絶対音感と呼んでいるものはそれじゃないんだな、って思ってるんだ。
「あ、わかるわかる、聞いたことあるよ。テーブルを叩いても色んな周波数が混じってるから1つの音じゃ表せないってことでしょ?」って鋭い人もいるかもね。これもそうだねって思いもあるんだけど、実は言いたいことはもっと別のところにあるんだ。
絶対音感の程度は人それぞれだけど、ここでは僕の例で書いていくね。
完全音感[Perfect Pitch]
世の中でよくきく絶対音感というものは、完全音感のことを指して言っているような気がするんだ。完全音感と言うのは、簡単に言えば「完っっ璧に音の高さを認識する」音感のこと。例えば、
- ベースだけチューニングが甘いな、少し上ずれしてる(ほかの楽器との微妙なずれを検知)
- この音はラだね、でも440Hzよりも少し高い…442Hzくらいかな(単独でも微妙で些細なピッチを検知)
とかとか検知するような正確さに加えて、後述する本来の絶対音感も有している音感とのこと。とても強い音感だね。(完全音感と絶対音感の違いに言及する書籍等もあるみたい。最後に補足)
ここだけ見ても「へー、ん…?それが絶対音感じゃないの?」って感じかな。じゃぁ絶対音感って何のことなの?って話だよね。
絶対音感[Absolute Pitch]
絶対音感は
ドレミファソラシで語りかけてくる
音感だよ。そして一番誤解がありそうな点を言うと
絶対音感は、少し音がずれてても教えてくれない
・
・
・
どころか、
・
・
・
♯や♭を教えてくれない!
という代物なんだ。
「ん?完全音感の緩い版(シビアじゃない曖昧な音感)ってこと?」って思うかもしれないけど、実はそうじゃない。完全音感はあくまで把握する能動的音感で、絶対音感は語りかけられる受動的音感なんだ。
完全音感は“頭の処理”、絶対音感は“心の事象”
ちょっと何言ってるかわかんねっす…ってなってる人も多いと思うので、僕に起きている事象で具体的に書いていくね。音楽を聞いているときの頭の中の状態をざっくりトレースすると
- 例えば、Eメジャーキーでピアノがミ、ソ♯、ファ♯、レ♯、ミーと弾く
- 音が「ミ、ソ、ファ、レ、ミー」って音名で語りかけてくる、言ってる
- ソはさっきのミと長3度の距離にあるとか、ファは通常のファよりも右肩半分高いなど1音ずつに感じてるずれを元に、「ソ、ファ、レの本来の名称には♯が付いているんだ」と頭が処理する
- (もしピッチのずれがあれば)3の中で「ちょっとずれてるな」と検知する
2が絶対音感、3単独が(恐らく世にいう)相対音感、2と3合わせて完全音感。4まで含むと高度な完全音感、って感じかな。
2も3も4も検知自体は無意識の出来事なんだけど、3は検知した後に「♯/♭がつく」と頭で把握、4は検知した後に「〇セント位高い/低い」と頭で把握するので音名の認識としては意識下での認識(=頭の処理)って思ってる。
一方で2は、頭で把握する前の聞こえてくる時点で既に音名として聞こえてくる状態(=勝手に起こる事象)なんだ。
改めて、つまり絶対音感とは
一番言いたかったこと、それは「絶対音感は、音名を頭で考えることなく名称を教えてくれる(ただし♯や♭を教えてくれない…)音感」ってことだよ。
世間一般のお話は
なので冒頭の話に立ち返ると、絶対音感があるという人に対して
「この音当てて!(バンッ:テーブルとか)」
って絶対音感の人の周りでよくありがち(?)な話は、
「店員さんに怒られるよ!?」
・・・
じゃなくって(ボケたつもり…汗)、こんなプロセスを経てるよ。
- (びくっ!) ※ボケたつm(略
- (色んな音階が混じってるねー) ※正直集中しても全部は僕には厳しい…
- (その中にシって言ってた子がいた) ※絶対音感
- (いつものシより半音低かったね) ※相対音感、音名補正
- (シ♭だけど、ちょい高めだった) ※完全音感、音名補正
- 「シ♭っすね、ちょっとシ寄りで高めの」
こんな感じだよ。正直3までは脳内に聞こえてくる名称を口にするだけだけど、4,5は意識を音に向けないといえない(僕の場合は…。)
僕がこれまで&これからも絶対音感って言葉で指していくものは、この「音名で話しかけてくる」ってことを指すよ。それ以降のものは完全音感って呼ぶね。
この絶対音感の人はこれまで何度かお見掛けしたことあるんだけど、残念なことに僕の身近の狭い界隈にはいなくって、逆に「音を聞いたら鍵盤イメージが飛び込んでくる」っていう人はいたよ。ジャズピアニストなんだけど、抑えるべき鍵盤が頭に出てくるんだって。
ちょっとこの話は次回の話に関わってくるので別途触れるね。
次回以降では「絶対音感で困ること」や「絶対音感が教えてくれる音楽の秘密」などについて書いていくつもり!
それじゃーね!
本記事のシリーズ
本記事以外のこのシリーズ(?)はこちらだよ:
補足等
余談1:書くきっかけ&参考/引用元
今回の記事を書き始めるにあたり、以下の記述を拝見したよ。
「音感と音楽能力評価」 鈴木寛 国立大学法人 兵庫教育大学大学院名誉教授 より引用
完全音感とは何ですか?絶対音感・相対音感とはまた違うものですか? – 完全音感… – Yahoo!知恵袋
完全音感は絶対音感と相対音感を兼ね備えしかも数10セントの偏差のある音を特定のラベルでグルーピングできる能力であり(~略)
(~略~)一般に理解されている絶対音感と英語のperfect pitchの意味はほほ重なる。(~略~)
Wikipedia:絶対音感 の 「絶対音感」に対する誤解
元々「書いてもな~」とか「僕だけだったら嫌だしな~」とか思ってた内容だったんだけど、これらの記述を見て「あ、一般的かも?書いてもいいんだ?」と背中の後押しを感じて(?)、この記事を書くことにしたんだ。
余談2:幹音
♯も♭もつけないドレミファソラシのことを幹音って言うらしい。♯や♭を教えてくれない絶対音感は、絶対幹音感??幹音で聞こえてしまうような教育受けたかなぁ…
でわでわ!
コメント
[…] 前回の絶対音感と音楽の秘密~1.世間の誤解~で「絶対音感は心の事象、音が音名で語り掛けてくる」「完全音感は頭の処理、正確にどの音なのかを把握する」って話をしたね。 […]
[…] これまでの記事で、絶対音感と音楽の秘密~1.世間の誤解~では絶対音感とは心の事象で完全音感は頭の処理、世間が言う絶対音感は完全音感だとかとか書いてきたね。 […]