誰でもわかる異名同音②響きが違う理由(サンプル音源あり)

誰でもわかる異名同音②響きが違う理由
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さーて2つ目の記事!前回は、鍵盤のソとラの間の音にフォーカスを当てて、実際に音を聞いて次のことを確認してきたね。Cメジャーキーのサンプルの中で

  • Cメジャーキーを飛び出したソ♯とラ♭の音は同じ音高なんだけど…
  • ソ♯はキツめ、ラ♭は優しめの響き
  • ソ♯は後ろにE7流すといい感じ!そのままAmへGO!
  • ラ♭は後ろにFm流すといい感じ!切なくCへGoal!

そしてこれをもっと一般化して言うと、音が変化してスケール外に飛び出したとき、その音が

  • キツめに聞こえる ⇔ 感情がシャープに ⇔ 音にがついてる
  • 優しめに聞こえる ⇔ 感情がフラットに ⇔ 音にがついてる

ということだったね。文字通り♯はシャープな感じに、♭はフラットな感じの感情になるっていうなんともベストなネーミングだね。

さて今回は、

なぜ同じ音高の音で響きの違いが出てくるんだろう?

っていうテーマだよ!

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動画(②響きが違う理由)

今回も動画を用意しているので、こちらを見てから記事を読んでもいいし、読んでから最後に動画を見るもよしだよ!

[音楽理論]聴けば誰でもわかる異名同音②[MSTDIOblog]
動画:空(ソラ)の間を通る和音

~空(ソラ)の間を通る和音~

なぜラ♭が優しめでソ♯がキツめのそれぞれ違った感じに聞こえるのか、深堀してみよう。

仮説:コードによるもの

一般的にコードは雰囲気をつかさどるって感じの趣きあるよね。コードがこの辺の雰囲気にも関係している…?

コードの余韻

前回コードを乗せたサンプルをもう一回聴いておこう!前者がラ♭の後ろでFmを流している版、後者がソ♯の後ろでE7を流している版だよ。

音:ラ♭とソ♯のコード付き比較

なるほど、どちらもしっくりくるし響きの差の理由はコードが原因な気がするね。今度は改めてコードがない版を聴いてみよう。

音:ラ♭とソ♯のコードなし比較

コードはないけど、雰囲気はさっきと同じ感じだなー。でもこれって、

さっきのコードの余韻が頭に残ってるんじゃないの?

…って思うよね。つまり、やっぱり雰囲気はコードに引っ張られてるんじゃないかなって。じゃーここで1つ実験をしてみよう。

同じコードを聴いてみるテスト

例の音(ラ♭/ソ♯)を伸ばしているところで、次の2つのコードを続けて流してみようと思う。1個目はaugコードで下の図の青い〇、2個目はdim7コードで下の図の赤い〇だよ。ピアノで和音を弾くので、ピアノに意識注目ね!※あえてコード名はまだ記載しないよ。

図:Eaug(?)とDdim7(?)
図:Eaug(?)とDdim7(?)

さて、まずはラ♭を流してる後ろで青いaug赤いdim7を鳴らす版!

音:Fm的なaugとdim7

どう聴こえた?僕の感情としては、やはり優しく切なく陰る感じで、Fmのサブドミナントマイナーの匂いが残ってる感じかな。


次はソ♯の後ろで青いaug赤いdim7を流す版を聴いてみるよ。

音:E7的なaugとdim7

どうだろう。やはりどこか引き締まるキツさが感じられないかな?僕としてはE7系の短調ドミナントな響きを感じたよ。

もし響きが違って聴こえなければ僕のサンプルが良くないかもね、ごめん。

コードが原因ではない?

響きが違って聴こえたキミ、ここまでくるといよいよ

同じ(単)音同じ和音を聴いてるのに、なんで響きが違うんだ!?

って混乱しだすかもね…。僕はしばらく混乱してたよw

違いは『背景スケール』

今回のラ♭とソ♯の例、聴いてる単音と和音が同じ中で違うのは背景スケール(記事:絶対音感と音楽の秘密~3.音楽の秘密~で触れた話)。背景スケールに関する要点を端的に言うと、

  • 音楽を聴いている瞬間瞬間・小節の中で、同時に鳴らしても違和感のない音たちがある(背景スケール)
  • 背景スケールは7つ以下の音でできている。(7音公理)
  • 8つ目の音が聞こえたら、元の7つの音のどれかが変化した状態。(背景スケール変化・進行)

というもの。今回の例でCメジャーキーの中でラ♭が聞こえたときはCハーモニックメジャースケールというスケールになって、Ⅳmなどのサブドミナントマイナーを代表するような陰りの匂いがする。

ハーモニックメジャースケール in Cメジャーキー
図:ハーモニックメジャースケール in Cメジャーキー

この変化しているラ♭は、あくまでラの変化なのでラとソではソの方に動きたい音になる。(ラの方向は更にスケールの変化になる)

そしてCメジャーキー(Aマイナーキー)の中ソ♯が聞こえたときはAハーモニックマイナースケールになって、Ⅲ7などの短調ドミナントを代表するような締め付けるキツい匂いがする

Scale-HarmonicMinor
図:ハーモニックマイナースケール in Aマイナーキー

これも、この変化しているソ♯は、あくまでソの変化なのでラとソではラの方に動きたい音になる。(ソの方向は更にスケールの変化になる)

今まで聴いてきたサンプルは、それぞれこれらのスケールの上で単音(ラ♭/ソ♯)・和音(augとdim7)が鳴っていたんだ。

登場した音たちを以下の黄色(ハーモニックメジャー)と紫(ハーモニックマイナー)の鍵盤で見てみよー。

両方に共通するのは

  • 黒鍵盤=メロディで伸ばす音(ラ♭/ソ♯)
  • 青い〇=1個目に聴いたaugコード
  • 赤い〇=2個目に聴いたdim7コード

だね。逆に両方の違いは背景スケールだけだってことがわかるね。つまり響きの違いの理由は背景スケールにあるってことになる!

整理すると…

まとめ

今回の実験でサンプルを聴いてみてわかったことは、

  • ソ♯とラ♭で聴いた響きが違ってくるのはコードが直接原因ではなさそう
  • 同じ音、同じコードを鳴らしても響きが違うケースがある
  • 上記のケースでの違いは、背景のスケール
  • ハーモニックメジャースケールサブドミナントに代表されるような陰った匂い
  • ハーモニックマイナースケール短調ドミナントに代表されるような尖った匂い

などなどだね。

次回

あれ?今回の話って少し見方を変えると

『同じ和音を聞いても感じ方が真逆くらい違う』

っていう異名同音の和音版の話に見えてこない??ソ♯とラ♭が違うように、今回のaugdim7もハーモニックメジャー上やハーモニックマイナー上では実は別物なのかな?

次回はそこを掘り下げるよ!それじゃーね!

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