今回は音楽的Tipsなコラム、今後キミの音楽理論でも7CMでも公理(これは使えるぞ、成り立つぞ!)としても織り込んでいくつもりのトピックだよ。名付けて
ベースアップアップ戦法(ベースアップアップ公理)※適当
編曲時に表現として活用できると思うので、実際にキミにはどう感じるか音源聴いて心に訊いてみてね!
目次
🖊主張
音がアガると気持ちは高揚し、音がサガると落ち着く、ってざっくり思っていて、これをもっと確からしさを持たせるために条件狭めて、
ベースがアガると気分がアガり、ベースがサガると気分がサガる
という主張を今回確認してみるよ。
ここでいうアガるサガるというのは
- 明るい/暗い
- 楽しい/寂しい
とかとかではないよ。
- 興奮/落ち着き
といったもの。興奮って言うとポジティブに感じるけど、そうじゃない。感情の熱量の大小って思って欲しい。例えば、
- サッカーで優勝して興奮した
- 大人なーーーに少年は興奮した
- 泣きながら興奮した彼女を背にし、男は二度と振り向くことはなかった
- その時の殺人鬼の様子を彼は興奮ながらに語った
どれも興奮って言葉で表現するよね。でもよく考えると
- 嬉しいという感情
- ピンクな感情
- 悲しい・嫌だという感情
- 危機的な感情
って感じに、方向はそれぞれ別物だよね。結局興奮ってそのエネルギーの強さや感情の熱量自体を表す言葉だと思うんだ。
そして話を戻すと、今回のテーマは正にこの興奮についての主張。
- ベースがアガる:気持ちの熱量がアガる→興奮する!!!
- ベースがサガる:気持ちの熱量がサガる→落ち着く・・・
という主張になるよ。方向はその時の調性やコード進行が生む感情によるものだね。
🧪実験
実際に聴いてみよう。同じコードの転回系でベースがアガるケースとサガるケースを比較してみよう。転回系独特の響きってのもあるけど、一旦無視しよう。以下のサンプルだよ。
- 原型=Ⅵm-Ⅴ-Ⅰ (Am-G-C)
- 下行:ⅲ-ⅱ-ⅰ (ベースでE↘D↘C )
- 上行=ⅵ-ⅶ-ⅰ (ベースでA↗B↗C)
- 原型=Ⅳ-Ⅲm-Ⅱm-Ⅰ (A-G♯m-F♯m B/F♯-E)
- 下行:ⅳ-ⅲ-ⅱ-ⅰ (ベースでA↘G♯↘F♯↘E)
- 上行:ⅳ-ⅴ-ⅵⅶ-ⅰ (ベースでA↗B↗C♯D♯↗E)
- 原型=Ⅵm-Ⅲ-Ⅰ-Ⅱ-Ⅳ-Ⅵm-Ⅶ-Ⅲ
- 下行:ⅵ-♯ⅴ-ⅴ-♯ⅳ-ⅳ-ⅲ-♯ⅱ (A↘G♯↘G↘F♯↘F↘E↘D♯)
- 上行:ⅵ-ⅶ-ⅰ-ⅱⅲ-ⅳⅴ-ⅵ-ⅶ (A↗B↗C↗DE↗FG↗A↗B)
- 原型=Ⅳ-Ⅱ-Ⅰ-Ⅲ-Ⅵm (F-D-C-E-Am)
- 下行:ⅳⅲ-ⅱ-ⅰ-ⅶ-ⅵ (ベースでF↘D↘C↘B↘A)
- 上行=ⅳ-♯ⅳ-ⅴ-♯ⅴ-ⅵ (ベースでF↗F♯↗G↗G♯↗A)
原型=Ⅵm-Ⅴ-Ⅰ (Am-G-C)
まず元となる原型はこちら。後半を変化させるよ。コードは
C F-G Am–G C
下行:ⅲ-ⅱ-ⅰ (ベースでE-D-C )
まずはベースが下行するケース。後半で3-2-1と降りてトニックに向かうよ。コードは
C F-G Am/E-G/D C
E↘D↘C
上行=Am→G/B→C
続いてベースが上行するケース。後半で6-7-1と昇ってトニックに向かうよ。コードは
C F-G Am-G/B C
A↗B↗C
比較
どうだったかな?後者の昇ってく方に向かってくぞーって感じの高揚感を感じないかな?もう少し並べて聴いてみよっか。651(原型)→321(下行)→671(上行)→65(原型)→32(下行)→67(上行)→1って並べてみるよ。
1.A↘G↗C
2.E↘D↘C
3.A↗B↗C
4.A↘G
5.E↘D
6.A↗B
少しでも感じ取れれば嬉しいな。このケースは、ベースの開始点が異なるからAm/Eの時点でちょっとふわっとしたもの感じちゃうかもね。次のケースはスタート地点も同じケースだよ。
原型=Ⅳ-Ⅲm-Ⅱm-Ⅰ (A-G♯m-F♯m B/F♯-E)
次のケースだよ。快眠ベッドのようないわゆる Lovin’you進行 が上行したらっていう比較だよ。
下行:ⅳ-ⅲ-ⅱ-ⅰ (ベースでA-G♯-F♯-E)
まずはベースが下行するケース。普通の Lovin’you進行 で4-3-2-1ってくだってトニックⅠに到達するよ。コードは
A G♯m F♯m-B/F♯ E
A↘G♯↘F♯↘E
上行:ⅳ-ⅴ-ⅵⅶ-ⅰ (ベースでA-B-C♯D♯-E)
続いてベースが上行するケース。4から4-5-6-7-1と昇ってトニックⅠに到達するよ。コードは
A G♯m/B F♯m/C♯-B/D♯ E
A↗B↗C♯D♯↗E
比較
前者はゆ~ったり穏やかだよね。ラ~~~ヴィンユ~~ゥって感じ。後者はどうだろう?落ち着けた?
いいコード進行だなってのはそのままだけど、居心地の良さというか、そこで眠っちゃおうって感じには逆らうような向かっていくぞ感がちょっと出て感じない?キミなりにキミの聴感解釈してみてね。
原型=Ⅵm-Ⅲ-Ⅰ-Ⅱ-Ⅳ-Ⅵm-Ⅶ-Ⅲ
長調トニック への進行の感じはなんとなくわかった。じゃー 短調トニック だとどうなんだろう?まずはありがちな短調の下行クリシェから比較してみよー。
下行:ⅵ-♯ⅴ-ⅴ-♯ⅳ-ⅳ-ⅲ-♯ⅱ (A-G♯-G-F♯-F-E-D♯)
まずはよくある 短調トニック からの下行クリシェ。ベースが6から半音ずつ下がっていくよ。コードは
Am E/G♯ C/G D7/F♯ F Am/E B7♭9/D♯ B7♭9/C Esus4/B E
A↘G♯↘G↘F♯↘F↘E↘D♯C↘B
上行:ⅵ-ⅶ-ⅰ-ⅱⅲ-ⅳⅴ-ⅵ-ⅶ (A-B-C-DE-FG-A-B)
続いてベースが上行するケース。6から6-7-1-2(3)-4(5)-6-7とあがっていくよ。3と5は半拍だけ差し込んだだけだけどね。コードは
Am E/B C D7 F Am B7♭9 Esus4-E
A↗B↗C↗DE↗FG↗A↗BCD♯↗E
比較
どう感じたかな。どっちも悲しいんだけどさ、やっぱり違うよね。僕の聴感的には、前者は泣き崩れていく悲しさで、後者はフツフツと何かが燃え滾っていくような悲しさ感じたかな。
原型=Ⅳ-Ⅱ-Ⅰ-Ⅲ-Ⅵm (F-D-C-E-Am)
今度は上行クリシェでよくあるパターンを激しいトーンでやってみるよ。
下行:ⅳⅲ-ⅱ-ⅰ-ⅶ-ⅵ (ベースでF-D-C-B–A)
まずは、下行するケース。ベースが4から4-2-1-7-6と 短調トニック に降りていく。コードは
Am ~ F D C E/B Am
A ~ F↘D↘C↘B↘A
上行=ⅳ-♯ⅳ-ⅴ-♯ⅴ-ⅵ (ベースでF-F♯-G-G♯-A)
続いて、ベースが上行するケース。こっちがよくあるパターンで、4から半音ずつ 短調トニック へ登っていくやつ。コードは
Am ~ F D/F♯ C/G E/G♯ Am
A ~ F↗F♯↗G↗G♯↗A
比較
リードを除いてもう少し近くに並べて比較してみよっか。まずは下行するケース。
続いて上行するケース。
どうだろう?後者はなんだか獲物を追い詰めるような向かっていく感じがしないかな?
🤔考察
どう感じたかな。僕は、
- 明るい曲で
- ベース↘:「は~い終わりますよ」なだめる感じ
- ベース↗:「よし、終わりますよ」区切る感じ
- 穏やかな優しい曲で、
- ベース↘:凄く落ち着く
- ベース↗:少し違和感?始まる感や何かに向かう感
- 暗い悲しい曲で
- ベース↘:凄く悲しみに落ちていく感じ
- ベース↗:悲しみの中でフツフツと何かが…な感じ
- 激しい曲で
- ベース↘:まぁ普通、激しさの方に気を取られる
- ベース↗:激しく追い込んでる感じ、強い
主張は正しいぞって感じたよ。あくまで聴感によるものなので個人差はあると思うし、いつでもめちゃくちゃアガるかというと、シチュエーションや曲調、文脈、調性とコード感などなどに寄ってくると思うので、あくまでアゲた場合とサゲた場合の比較においては、って結論でもいいかもね。
❓なんでだろう…
ただ、これはやっぱり生物的に織り込まれてるものなんじゃないかなって思う。例えば、
- 語尾をあげると注意を引く「あぁ⤴?」「なんだ⤴?」
- 語尾をさげると落ち着く「あぁ⤵」「なんだ⤵」
とかね。音の感じ方は人間固有ではなく生物全体に共通するようなものだと思う。動物の赤ちゃんの甘える声だったり泣き声だったり、これは別の動物にも「甘えてる」「嫌がってる」を感じさせてると思うんだ。そしてそこの背景にはサウンドだったりアゲサゲだったりの理由が潜んでるんじゃないかと。
💡結論
ってことで結論としてまとめると
- ベースがサガって行く流れは落ち着きを得る
- ベースがアガって行く流れは高揚感・興奮を得る
ってことが感じられたかな?キミの音楽理論(MSTDIO)の結論としては
- ベースがサガるとサガる、落ち着く
- ベースがアガるとアガる、高揚する
って結論にするよ。 編曲の時にちょこっとベースを意識することで音楽の流れに微細な変化をもたらしてくれそうだね。
それじゃーね!
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